第六衝突 【190ページ】

今日はついに大学の入学式。この日のためにわざわざ買ったリ慣れないクルートスーツを着て家を出る。途中までは絵麻と侑介と一緒だったけれど、通う学校はこれから違う。今までみたいには、いかない。



『…これからここに通うんだ』



城智大学へと。正門を潜って中へと入る。見学時や入試の時に感じたのだけれど、中はとっても綺麗。建物がそもそもオシャレだ。



「よろしくね、名前ちゃん」

『祈織兄さん。よろしくお願いします』



び、びっくりした。振り返ればいきなり祈織兄さんが立っていたから。それを出さないようにしながら返事をした私は結構偉いと思う。ところでどうして入学式会場に祈織兄さんが?そう不思議に思った。…その疑問はすぐに解決されたのだけど。



『まさか祈織兄さんが挨拶してくれるなんて思わなかった』

「僕も断ろうかなと思ったんだけどね。君がいるから、いいかなと思って」



入学式中にあった在校生による挨拶。その代表者が祈織兄さんだった。



『女の子達は皆目がハートになってたよ』

「どうしてだろうね。僕は何も特別なことなんてしていないのに」

『んー、目の保養?だってカッコいいもん祈織兄さんは』

「ありがとう」

『ともかく、これからよろしくお願いします先輩』

「うん。よろしくね可愛い後輩」



そんな感じで始まった大学生活人付き合いは結構得意な方の私はすぐに友達を作って。水泳の監督にも挨拶をしてすぐに泳がせてもらった。というかタイムを計られた。監督は若目の男の人で、先輩達には嫌悪の瞳で睨まれた。私が気に入られているから。わざわざスカウトまでした人物だからだとは思うのだけど。



『あーあ。まぁ、どうにか上手くやらないとね』



あまり気持ちの良いものではない。嫉妬をずっと持ち続けられるとよくない方向に走ることだってあることを私は知っている。


この時に、嫉妬を向けられていると分かった時に、さっさと行動すればよかったんだ。そうすればあんな事は起きなかったのに。後悔した時には全てが遅かった。

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