第六衝突 【184ページ】

翌日、目が覚めると一番に名前が目に入った。昨日は初めてだったのに激しくしちゃったな、とか色々思うところはあったけど、可愛くって止められなかった。名前が可愛すぎて。



「…喉渇いた」



きっと俺よりも名前の方が喉渇いてるだろうけど。京兄に部屋の冷蔵庫は撤去されてしまったので、この部屋で何か飲むには水道水しかない。声優の俺にそんなものはもっての外だ。名前も目覚めたら何か冷たいものが飲みたいだろうとリビングへと向かった。



「おはよー」

「何がおはようですか。もうお昼前ですよ」

「え、マジで?」

「本当。時計見てみなよ。椿ってば本当に僕が起こさないと起きないんだから」



丁度リビングにいた京兄と梓に呆れられる。いや、今日はいつもと違うって。名前が可愛すぎてがっついちまったせいなんだよー。何て言えるはずもなくて、苦笑いして返してみせたけど、やっぱり弟である梓は分かってしまうのか少し言いづらそうにしながらも聞いてきた。



「椿。名前が部屋にいないんだけど、どこにいるか知らない?」

「あー、やっぱり梓は分かっちゃう?」

「うん。ていうか椿、首筋の後ろに引っかき傷あるからね?まさか高校男子みたいに日が昇るまでしていたなんてないよね?」

「ぎく………そ、そのとおりです」

「はぁ。あーあ、可哀想だな名前」

「へ?何でだよ?」

「明日は椿兄さんとデートするんだ!っていい笑顔で言ってたよ」

「げ」

「ちゃんとフォローしなよ。適当に誤魔化しておいてあげるからさ」

「サンキュー梓」



部屋に戻ってみても未だに名前は寝ていた。気持ちよさそうなその表情に癒される。俺、こんなに幸せでいいのかなー。



「名前、好き、大好き」



起こさないようにそっとベッドへと侵入し、名前を抱きしめなおして、俺はまた眠りについた。

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