第五衝突 【159ページ】
『んー、美味しい!』
私は椿兄さんと梓兄さんに高級スイーツ店に連れてきてもらっていた。何でも受験お疲れ会らしい。絵麻や侑介はまだだから私だけ特別に連れてきてくれたんだって。
「名前〜これも美味いぞ〜」
「名前、これもどう?美味しいよ」
どんどん私のお皿に乗っていくケーキたち。私の胃の中へとすさまじい勢いで消化されていく。
『全部美味しいですっ』
ほっぺが落ちちゃいそう。あ。でもお金大丈夫かな。私、そんなに持ち金ないけど。
「どうした〜?」
『えっと…』
「お金のことは気にしなくていいんだよ。僕達が支払うから」
「そーだぞー!だから名前は気掛りなく食べろー★」
まだ受かったとは正式に決ったわけではないのだけれど。恐らく大丈夫だろう。あとは遊びまくるだけ!って言っても、相手がいないんだけどねー。推薦受ける子なんて一握りだもん。バイトでもしよっかなー。
『ありがとう椿兄さん梓兄さん!』
金額は私ではとても払えないようなほどに膨れ上がっていた。それをあっさりと払うこの兄たちは本当、人気声優なんだと実感する。
「いーのいーの★名前のためなんだから」
「そうだよ。名前のお疲れ会だからね」
惚れちゃうじゃない。。。
三人で街を歩いていたら、棗兄さんの姿を見つけた。私より彼らの方が見つけたのは先のようで、椿兄さんが彼のもとへ駆け寄っていく。
「なっつめ〜★」
「げ」
「げ、はないでしょ棗」
『こんにちは棗兄さん』
「久しぶり名前」
そのまま棗兄さんを巻き込んで開店したばかりの大きなゲームセンターにやって来た。
『あー楽しかった♪もっと色々楽しみたかったよー』
「名前強すぎ〜」
「3人掛かりでも敵わないなんてね」
「勘弁してくれ。自分の会社が作ったゲームでこれ以上負けたくない」
対戦型のゲームをしたはいいけれど、私の全勝で終わった。ゲーマーな妹と一緒にしていればそれなりに腕も上がる。
『じゃあ今度皆来ましょうよ!10人まで対戦可能ですし』
「お前、俺達兄弟全員をボコボコにする気かよ」
『いやーさすがに無理ですよー。絵麻には勝てないですしね』
最強は絵麻だ。ゲームでは最強になるんだよねあの子。技が神掛かってる。でも本当に皆で来たら楽しいだろうな。かなり騒がしいだろうけど。
『今日はありがとうございました』
結局棗兄さんに送ってもらうこととなった私達。断ってもよかったのに、双子の兄達には甘いみたいだ。もはや奴隷みたいな扱いされちゃってるよ、棗兄さん…。
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