第五衝突 【150ページ】

文化祭の準備に追われる今日この頃。



『絵麻のクラスは何するの?』

「喫茶店だよ。お姉ちゃんは?」

『クラスでも部活でも演劇になった…』



別に舞台が嫌とかっていう訳じゃない。まぁ、演技力に期待されたら困るけど。水泳部はもう引退しているけれど、これが最後の大仕事と言わんばかりに三年生も参加するのが恒例だ。別にそれ自体は何の問題もない。だけど、クラスの方も部活の方も王子(ヒーロー)役となり、台詞が多くて覚えるのに一苦労なのはどうしてだ。



『疲れた…』



部屋まで帰る元気もなく、リビングのソファーで眠ってしまっていた私。目を覚ましたらすぐに昴兄さんの顔があった。



『昴兄さん!?』

「うおっ!?」



驚いて身体を起こす。パサリとタオルケットが落ちた。寝るときにはこんなものなかったから昴兄さんがかけてくれたのだろう。



「姉さん、こんな共有スペースで眠るなんて大胆だよね」

『風斗!』

「風斗、お前帰ってたのか」



実際に風斗の姿を見るのは久しぶりだ。学校が同じだといえども、学年が違うし、そもそもあまり風斗が学校に通っていない。



「そこのスポ根じゃなくて、今回は姉さんが悪いと思うけど?襲ってくださいといわんばかりだよね」

『そんなつもりは…』



全くもってない。ただ疲労のために眠ってしまっていただけだ。



「ふーん。ま、いいけど。次こんな場所で眠ってたら襲うから」

「風斗!!」

「はいはい。じゃ、僕、仕事あるから。またね姉さん」



完全に目が覚めてしまった私は昴兄さんにお礼を言って自室へ戻り、台本をチェックし直した。早く台詞覚えないと。悪いけれど風斗にかまっている時間などないんだ。
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