第五衝突 【149ページ】

ついに来てしまった月に一度の女の子の日。お腹、正確に言えば下腹部に痛みが走る。



『ぅう…最悪だ』



酷いときに限って薬がなくなっていたりする。今が正にそれ。痛みと戦いながら布団に丸まりこんだ。けれどもこんな時に限って嵐はやって来る。



「名前ーゲームしようぜ!ゲーム!!」

「椿、そんな大声出さなくてもいいから。名前、今下で皆集まってテレビゲームしてるんだけど一緒にどう?息抜きにって侑介たちも来てるけど」



普段の私なら喜んで行ったと思う。けれど、今の私にはそんな元気なくて。



『…私はいい』

「えー、そう言わずにさ、一緒に遊ぼうぜ!」



ガチャとドアノブが回される音がした。しまったと思った。水を台所に飲みに行って、鍵を閉め忘れてた。



「開いてんじゃん。名前ー?入るぞー…ってどうした!?大丈夫か!?」

「大丈夫!?名前!!」



あー…。見つかった。このままじゃ雅臣兄さんを呼ぶ勢いだったので仕方なく心配する。



『大丈夫だから。放っておいて…』



どうせ男には分からない痛みだ。女だから、女に生まれたからってこんな痛みを毎月毎月受けるだなんて何て不公平なのだろう。これのおかげでプールに入れなくもなるし。痛いし、イライラするしでいいことなんて一つもない。



「でもお腹辺りが痛いんでしょう?」

「そーそー。雅兄呼んできてやるって」

『いや、だからそうじゃなくて』



家族だとは言えども、兄弟にこれを言うのは躊躇われた。どうにか察して、と思うのだけれど無理そうだ。



『………女の子の日、だから、放っておいて、大丈夫』



蚊の鳴くような声で言ったそれは2人の耳にちゃんと届いたようで。双子は頬を赤く染め上げた。



『だから一人に…』



部屋から出て行ってもらおうと思ったのだけれど、2人は出て行く様子を見せず、私を介護し始めた。暖かいミルクティーに布団を何枚も被せられて。いや。身体を温めれば、痛みはマシになる気はするけども。いくらなんでも恥ずかしい。



「ほら、暖かくしてなって」

「名前ー、どうだ?痛みは引いたか?」



…嬉しいけれど、勘弁してください。
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