第五衝突 【146ページ】



…ん。翌朝私は目を覚ました。時計を見ると7時を指している。目の前のベッドに眠っている絵麻の額に触れて、大分熱が下がったことを確認する。薬が効いたのかな。よかった。



『…もう一眠り、だけ』



昨日は絵麻が心配であまり深く眠れなかった。こまめにタオルを変えて、今もなお冷たいままだ。

次に目覚めたときには絵麻の姿はなかった。代わりにシャワーの音が聞こえることから、絵麻はシャワーを浴びていると伺えた。しばらく待てばシャワーを浴びた絵麻が戻ってきた。



「おはようお姉ちゃん」

『おはよう絵麻。もう熱は大丈夫なの?』

「うん。お姉ちゃんのおかげで平熱に戻ったよ」

『そっか。良かった』



兄弟達も心配していたし。



「ごめんね、お姉ちゃん」

『へ?』

「心配かけた事と、我侭言ったこと」

『絵麻…少し話し聞いてくれる?』

「うん」



絵麻の髪の毛を乾かさせ、対面して正座して座る。



『本当に悩んだんだ。でも、自分が成長するためには城智大学の方がいいと思った。絵麻ともずっといられるわけじゃないし。絵麻のためにも離れてみるべきだと思ったの』

「うん」

『絵麻のこと嫌いになったとかじゃないんだ。だから理解して欲しい』

「うん。私は大丈夫だよ、お姉ちゃん。本当、ごめんね。それからありがとう」

『私は絵麻のお姉ちゃんだからね』










「あれ、ちゃんと仲直りしたんだ」



二人で手を繋いでリビングへ向かえばさっそく要兄さんに突っ込まれる。本当、よく見てるよね。この人。



『「はい。ねー、絵麻/お姉ちゃん」』



見事にハモった。久しぶりだったかもしれない。
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