第五衝突 【144ページ】
絵麻に避けられちゃって数日。以前のように話かければ逃げられる。
『はぁ………』
謝る機会も、話す機会も、何も与えてくれない。以前ほど強引に絵麻と話す気にもなれないし、兄弟達に心配される始末。
「名前」
『ん?まほちゃん。どうしたの?』
名を呼ばれ、後ろを振り向けばまほちゃんが腕を組んで立っていた。ちょっといい?と聞くので、大丈夫だよ、と答えてまほちゃんの後についていった。
まほちゃんに連れてこられた場所は校舎の影で、丁度教室から見えないところ。
「ひな、あの子落ち込んじゃってるんだ。お姉ちゃんと離れるなんて考えられないし、ずっと一緒だと思ってたって。まぁ、ひなが名前に依存しすぎちゃってるんだと思うのだけど。ぱっと見は名前が依存しているように見えるけどね。………それで、どうするの?」
『…どうするって言われても』
絵麻を説得する、くらいしかできないのだけれど。もう私の意志は決ったから。いくら絵麻でもそれを覆すことは不可能だ。
『ちゃんと絵麻と話て説得するよ』
「うん。落ち込んじゃってるひな見てられないからさ」
『ごめんね、まほちゃん』
「ううん」
説得するというのが一番の問題なのだけども。
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