第一衝突 【13ページ】

寝て気分は良くなった。汗をかいてしまったため、お風呂に入りたいと思った。机の上に置いておいた地図を見ながらお風呂場を目指す。



『こっちはお手洗い。ってことはその反対だね』



私が迂闊だった。明かりがついていたのに禄に確認もせず、脱衣所の扉を開けてしまったのだ。



『………』

「ん?お前は確か、名前だったか?」

『はい、そうです』



目の前には昴兄さん。それだけなら何の問題もないのだけれど格好が格好だ。彼は腰にタオルを巻いただけの、筋肉を余すことなく見せ付けている。



『…すみません。私ならかまいませんが、絵麻の前でその格好はやめてくださいね?』



水泳部の私は別に男の人の上半身なんて見慣れているけれど(コースは別れているものの、同じプールで男子水泳部も活動する為)絵麻が慣れているはずがない。



「え、あぁ、悪い」

『いえ。こちらこそすみません』



…申し訳なかったな。
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