第五衝突 【135ページ】

すぐに雅臣兄さんはやって来て救急車に梓兄さんは運ばれて行った。



「あ、梓…」



雅臣兄さんが来る前にリビングにやってきていた椿兄さん。彼は呆然とした様子で立ち尽くしている。



『椿兄さん?病院行こう?』

「…いや、俺はいいよ」



ヘタリといつもの元気なんてなくソファーへ座り込む椿兄さん。怯えているのは分かっている。多分、椿兄さんは今回のことを自分のせいだと思っているから。



「俺、今は何も考えられないんだ。少し一人にしてほしい」

『…じゃあ私は病院に行ってくるね』



このまま一緒にいても逆効果だろう。今は病院へ行くつもりはないみたいだし。私は雅臣兄さんに病院の名を聞いて梓兄さんの容態を確認すべく外に出た。



『梓兄さんの状態はどうですか?』

「名前ちゃん。容態は安定しているし、あまり心配しなくても大丈夫だよ」

『そうですか。椿兄さんと棗兄さんに連絡しておきますね』

「うん。頼むよ」



病院の中で携帯を出すわけにもいかず、私は外に出て電話で棗兄さんに梓兄さんのことを伝えた。かなり驚いていたようだけれど、後でお見舞いに行くと言って電話は切れてしまった。急ぎの仕事が合ったのかもしれない。邪魔しちゃったかな。



『後は、椿兄さんか』



彼には直接伝えた方がいいよね。今の精神状態じゃあ電話しても出てくれるか怪しいし。絵麻にも伝えておかないと。
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