第四衝突 【126ページ】

いつの間にか梅の花が咲いて、3年生の終業式を終え、春休みを迎えていた。



「お帰り」

『祈織兄さん、ただいま』



祈織兄さんの足元には散った花びらが集まっている。箒を手にしている辺り祈織兄さんが掃いてくれたのだろう。



『すみません、掃除してもらって』

「大丈夫。皆それぞれマンションの周りに担当があるから僕は花壇とエントランス周辺なんだ」

『だからいつも綺麗な花が咲いてるんだ』



なるほど。だからいつ見ても綺麗な花が咲いていたんだ。祈織兄さんにならピッタリな感じだもんね。



『あ、あの時の花もですか?初めての時に花束をくれた』

「うん」

『ありがとうございました。おかげで部屋が華やかになりました』



あまり2人きりでいても会話が続かず、私はマンションの中へと入っていく。



「・・・・」



だから彼が呟いた言葉なんて耳に入っては来なかった。
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