第四衝突 【96ページ】
『「トリックオアトリート!!」』
口をぽか〜んと開ける兄弟たち。はっはっはー。驚いたか!絵麻と一緒にハロウィンだから何かしようかってことになって、私は黒猫、絵麻は魔女をイメージした服を着ている。所謂コスプレってやつ。
「どーしよう梓ー、俺の妹ちょーかーいー★」
「はいはい、俺のじゃなくて俺達の、だからね」
「お、お、お、お前らっ、何て格好してっ」
「ゆーちゃん、すばちゃん顔真っ赤だよ」
「なっ!?」
「お姉ちゃん可愛い!」
「うん。よく似合ってるよ」
「可愛いね」
「華やかでいいですね」
うん。まぁ予想はしてたよ。こんな反応だろうなとは。でもここまで完全に再現してくれるとは思わなかったな。
「皆さんトリックオアトリートです」
『お菓子くれないならいたずらしちゃうよ?』
雅臣兄さんは弥君と一緒にお菓子を持ってきてくれた。右京兄さんと祈織兄さんも普通にお菓子を持ってきてくれたんだけど。
「お菓子持ってないから悪戯してくれる〜?」
「あれ、つばちゃんも?俺もなんだよね〜、妹ちゃんたちは何してくれるのかな〜?」
煩悩だらけの人たちも幾人か。笑顔で近づいてくるあたり警戒していたらやっぱり抱きついてきた。
「ねぇねぇこの耳と尻尾どうなってんの!?」
『カチューシャとピンで留めてるんです。椿兄さん、離してくれないと怒りますよ?』
「えー俺、悪戯してもらってないー★」
仕方ないなぁ。恥ずかしいから言いたくなかったんだけど。
『………お菓子くれないお兄ちゃんなんて嫌いだもんっ』
椿兄さんが以前に好きだと言っていたキャラみたいに甲高い声で上目遣いを意識しながら言う。言い終えれば椿兄さんの腕が弱まったのを感じて私は彼から抜け出した。
「ごめんね。大丈夫?名前」
『うん、大丈夫。それより…』
と、絵麻の方を見たら頭を抱え込んでいる要兄さんとフライパンを持っている右京兄さんが見えた。…さすがの要兄さんでもフライパンで叩いたら可愛そうだよ。
『大丈夫そうですね』
「あはは。そうだね。はい、僕と椿の分」
『ありがとう、梓兄さん』
「…僕にも言って欲しいな”お兄ちゃん”って」
『えっ!?』
それは想定外だった。対椿兄さんか要兄さん用なんだけど。まさか梓兄さんから望まれるなんて。
『………梓お兄ちゃん?』
「うん。椿がいいって言うのも分かる気がするよ」
とりあえず今日は家にいた兄弟達からお菓子を貰い、そのお礼として絵麻と一緒に作ったスイートポテトを配った。
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