君はまた僕たちの元へやってくる

名前ちゃんがいなくなってから大きく時代は傾いた。幕府の力は弱まり、僕たちは大戦に巻き込まれ。負け無しだった新選組はどんどん北に敗走させられて。その間に左之さんと新八さんが離隊したり、羅刹となった平助と山南さんが灰となって消えてしまったり。悲しい別れが多すぎた。

新選組の最後を見たのかって?僕は見てないよ。近藤さんが処刑されて、僕は荒れて、土方さんと一緒に行動することができなかったんだ。申し訳ないけれどそれが一番の理由で一君と一緒に会津に残る道を選んだ。そこで散るつもりだったのに僕はどうやらしぶといみたいで生き残った。一君も果てることはなく。一君は北へ行き、僕は江戸に戻った。江戸に着くころには土方さんが戦死したという噂を聞いた。守ってくれる人がいなくなった千鶴ちゃんがどうなっているのか気になったけれど、僕に千鶴ちゃんを守ることはできない。どうしても出来ないと感じたんだ。

刀を持つ時代が終わり、侍が消えていって。刀を振るうことが許されなくなってしまって、僕は田舎に移動した。のどかで静かなところ。少し不便だなと思うところもあるけれど空気が澄んでいて気持ちいい。



「…名前ちゃん、あの世では記憶が戻ってるのかな。僕はそろそろそっちに向かうから待っていてよ、ね」






































その日も一君に起こされて。適当に身なりを整えてリビングへと降りる。用意されている朝食を食べて、あとは仕事の時間に合わせた電車に乗るだけだと、いつも通りなはずだった。君が階段から降りてくるまでは。



「…アンタは誰だ」
「左之さん、女連れ込むの禁止って言われてるじゃねーか。何連れて来てんだよ」
「俺じゃねーよ!土方さんじゃねぇのか?」
「うわぁ。自分で禁止って言っておきながらそれを破るなんて・・・」

『ちがいますっ!私はこの薄桜荘でお世話になることが決まった名前です。昨日の夜遅くに急に決まったものですから・・・。土方さんには話が通っているのですが』



男しかいないはずの薄桜荘にやってきた平助と同い年の女の子。平助と違ってしっかりしている子という印象を受けた。ただ少し抜けているけれど。ほら、寝癖がついてるよ。言ってあげる義理なんてないけれど。



「へぇ…。よろしくね名前ちゃん。僕は沖田総司です」



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