▼don't understand

私は一体何をしているのだろうか。光が兄弟だと分かった時に恋心を諦める決心をしたのに。そのために連絡先を消したというのに。どうして彼と同居するはめに?めちゃくちゃだ。



『はぁ・・・』



結局のところ、私は光への恋心を諦められていない。そのために他の人に抱かれようと思っても、仕事の後は大人しく家に帰らないとまずい。要するに私は光だけに抱かれているのだ。



『光。お腹すいた。何か食べたい』

「はいはい」



光と一緒に住んでいる。けれど別に家賃を払ってるわけではないし、水道光熱費も食費もいれていない。かといって家政婦のように家事を全てこないしているわけでもなくて。どうして私なんかをここに置いているのか分からない。しいて言えば抱きたいときに抱けることだけがメリットかな。

・・・光は何がしたいのだろう。彼が分からない。餌を与えて寝床を与えて。光は私の親鳥だ。









「もしもし、名前ちゃん?今夜どう?」

『・・・そうですね、久しぶりにお会いしましょうか。仕事終わりに連絡しますね』



他の人に抱かれていても、想う人は光だなんて滑稽でしょう?私の中にこれ以上入ってこないでよ。戸籍上とはいえ兄弟なのだから。私たちは。どう足掻いたところでそれは変わらない事実だ。

取り上げられた携帯は取り返すことができたし、私は油断していた。私を光の家に縛るものはなにもないと。今日は遅くなる、帰らないかもしれないと言っていたからばれないと思っていた。

私がどこで誰と寝ていようと光には関係ない。私はもう子供ではないのだから。なのに。家の入り口で突っ立っている光。はっきり言って邪魔。家の主に言う言葉ではないのだろうけれど。



『光、どいて。眠たいの』

「こんな時間まで名前、どこに行ってた?」

『私の勝手でしょ。未成年じゃあるまいし』

「約束。覚えてるでしょ」

『朝までには帰ってきたじゃん』



睨みあい。たぶんそれが一番正しい表現なんだと思う。私と光とじゃ身長差がそれなりにあるから上を向く羽目になって、首が痛い。



「・・・・・・・・・まぁ、アンタの携帯を取ったくらいで縛れるとは思ってはなかったけど。まさかこんなに早く破るとはね」

『分かってるならどいてよ。私、疲れてるんだから』

「まさか。大人しく寝かせるとでも?」



腕を引っ張られて、連れて行かれた先は寝室。ベッドに沈む身体。あぁ、もう疲れたから眠ってしまいたいのに。それにしてもどうして彼は寄り道をしてきたことを知っているのだろう。・・・どうでもいいや。今は与えられている快楽だけに身を任せていれば。



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