▲melancholy

今日も今日とて家に帰らず、そのまま仕事場に直行。下手にマンションに行って次男の右京にでも会えば最悪だ。面倒になるのは避けられない。そんなの私はごめんなの。



『・・・・・・げ、絵麻から帰って来るように催促のメールが来てるし。何か用でもあるわけ?ハァ・・・仕方ないな』



分かった、と短いメールを送り携帯の画面を閉じる。あの家は鬱陶しい人たちでいっぱいだ。口うるさい右京を筆頭にすぐに抱きついて触ってくる椿に要、雅臣も何かと心配してます的なことを言ってくるし、琉生も祈織も昴も皆心配してるんだからって言ってくる。私にとってそれはノイズなのだ。心配してくれなんて頼んだ覚えなんてない。

帰宅するのが憂鬱になって上司に仕事を回してもらい、残業をする。帰るとは言っても、わざわざ夕食時とか皆がいるときに行くわけないでしょ?とりあえず絵麻が起きてる間にマンションに行けばいいわけだし。なのに私の妹はそんなこと感じ取ってくれないみたいだ。今から行くね、とメールするとリビングで待ってる、と。それじゃ兄弟に会わないといけないじゃないか。誰もいないことを祈ろう、うん。



『・・・・・・・・・絵麻、用事ってなに?』



リビングには絵麻と右京、それから梓と侑介がいた。用があるのは絵麻だけだ。他のお帰りやどこに行ってたのかなんて言葉は無視無視。



「美和さんの結婚式での衣装お姉ちゃんの分も届いたんだ。渡しておこうと思ってもお姉ちゃん普段いないから・・・」



あーはいはい。私が普段いないせいで渡せないからわざわざ呼び出したのね。どうしようかなこれ。まさか不参加、というわけにはいかないし。かといって家に帰るのは面倒だから部屋に置いておくのも嫌。でも私、決まった寝床ないし・・・



『うん、ありがとう。仕事が忙しいのよ、これでも。じゃあね』



さっさとリビングを出る。あぁ、こんな時間じゃ誰も捕まらないじゃないか。今日くらいは部屋で寝るか?合鍵は誰にも渡してないし、戸締りさえきちんとしておけば大丈夫なはず。・・・誰も起こしになんて来ないよね。来ても絵麻くらいだろう。椿や他の兄弟たちが騒がなければ、の話だが。

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