▼me and he
いつからだっただろうか。私が碌に家に帰らなくなったのは。妹が一人で寂しく待っていることを知っていながら、私は気付かないフリをするんだ。
『んっ・・・・・・あ、ぃっ・・・』
でも、それももう前までの話。今では大切にしてもらえる家族が彼女に出来た。血の繋がりがある家族ではないけれど。
「アンタ酷い女だね。妹を男だらけのところに置いて自分は男に抱かれるなんて」
『うっさい』
今更何よ。どうせあの子には私はいらない存在なのだから。
私と違って何でもできる妹。料理も洗濯も、勉強も。昔からどれほど偉い妹と褒められたことか。姉もだったら良かったのにね、そんな言葉を投げかけられるたびに私は卑屈になってった。
『いいんじゃない?あの子はお姫様気分でいられる。私はあっさりした関係を求めてる。兄弟達、顔はいいけど性格に難ありだし。面倒事はごめんよ、私』
私と彼の関係は何だろう。友達ではない。身体を繋げているといえども恋人でもない。一夜限りという訳でもない。不毛な恋心を彼に抱いている。
「・・・・・・・・・その性格難ありの兄弟にアンタは抱かれているのにねぇ・・・・・・・・・」
そんな彼の呟きは私の耳には入ってこなかった。
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