▼truth
結局部屋にドレスは置きっ放しだった。兄弟たちが皆家を出た頃を謀って自分の部屋でささっと着替えを済ませる。あ、髪だけは琉生にしてもらったらよかったななんてちょっと後悔。自分でもそれなりにできるからいっか。ちょっと遅刻かなーなんて暢気なこと考えながら結婚会場へ。
『うわぁ・・・すご』
さすが美和さん。何人客呼んでるだっつーの。多すぎて挨拶にいけやしない。すっごい失礼な子になっちゃうじゃん。これから”お母さん”となるのに。
「あれ、アンタも来たんだ」
『姉に向かってアンタはなくない?風斗』
「はいはい。悪かったよ。ね・ぇ・さ・ん」
ったくこのクソ餓鬼。顔だけはいいからって調子乗って。
『風斗もちゃんと来てるんじゃん』
「まぁ一応?母さんのことだから色々呼んでると思ったしね。自分を売っておかないと」
『芸能人は大変ね』
私も自分を売り込んで寝床確保しようかなー。ここに来てる人ならそれなりにお金持ってるでしょ?イケメンがいいなぁなんて探してた。
『・・・な、んで』
キョロキョロしてたらいるはずのない顔。それも3男の要と一緒にいる彼。どうして彼がここに。どうして要と話してるの。
体中の血が引いていく感覚。長男は雅臣、次男は右京、三男は要・・・その下の椿は五男だといっていた。なら四番目は?年的にその間にすっぽり入る光・・・・・・・・・彼も兄弟だっただなんて。
「名前、久しぶり」
「あれ、ひーちゃん。名前ちゃんと知り合いだったの?」
「まぁな。な、名前」
『うん。びっくりした。光、朝日奈家だなんていわなかったじゃない』
「驚かせようと思ったんだよ。悪かったって」
・・・最悪だ。兄弟だなんて。義理とは言え兄弟は兄弟。面倒事はごめんなのだ。
振られたとでも思えばいいじゃない。今までだってそんな経験あったでしょ?今更初恋なんて言うわけでもないし、うん、大丈夫。もう光とは寝ない。それだけ。
私は携帯から光の連絡先を削除した。
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