▲confessions

そうだ。私は彼の何を知っている?何も知らないじゃないか。知っているのは私が近くにいると嬉しそうに笑って、少し離れると哀しそうにすることだけ。優しい所とか穏やかな所とか、この家でのことしか知らない。この家はここ数日間、私の全てだったから。彼が外で何をしているのかなんて知らない。まだ光の事のほうが、私は知っている。



「・・・やっぱり、な」

『どういうこと?』

「アンタは騙されてたんだよ。アイツの演技に。哀しそうな表情するのーとか思っただろ?」



は?え?ちょっと待って。頭の理解が追いつかない。意味が分からない。つまり全部演技だったの?あの笑顔もあの哀しそうな表情も。



「・・・ま、全部嘘って言うのは言いすぎかもな。アンタを重ねてた線もあるわけだし」

『光。順を追って話してくれないと分からない。それと、場所変えない?』



ギャラリーが集まってきてるんですけど。いい加減恥ずかしい。キスの嵐から解放されたとはいえ、腕をつかまれるのを払ったとはいえ、抱きしめられているのだから。他人の家のドアの前でいちゃついているバカップルにしか見えないだろう。



「・・・話は家で。覚悟しときな」

『・・・・・・・・・げ』



そういえば光の家、勝手に抜け出してたんだった。説教長くなりそうだな、足しびれないかな、なんて考えているうちに光の家に着いた。

私は洗いざらい話す羽目に。光を好きだということだけは隠して。家を出て行った理由は彼女がいるなら私は邪魔だと思ったから、で十分だ。



「・・・まぁこの辺で許してあげる。こっちにも非があったことだし」



この辺って・・・何時間正座させたと思ってるの。足がしびれて動けないんですけど。歩くどころか立ち上がることさえ出来ないよ。ちくしょう。

どうやら私は大きな勘違いをしていたらしい。私が見たのは酔っ払った知り合いの女の人を介抱している所で。少し前にふらついたから腰を持って支えていたのだと。

・・・どうしてマンションに連れ帰ってたの、って聞いたら諦めたように光は言った。一度だけでいいって関係を迫られたと。面倒だからさっさとヤってしまおうと思った。たまたま家が近かった、というだけで他意はない。いきなりキスされただけでアレは合意ではない。と。

結局、私の勘違いではなかったのだけど。彼女とは連絡を取ってないという光の言葉を信じようと思う。というか彼と私は何も始まっていないのだから何も言う資格なんてないし。



「そのことが終わったら伝えようと思ってたのにアンタ出ていく前の数日間、避けてたでしょ」

『だって下手な嘘は見抜かれそうだったし』

「アンタのおかげで気が気じゃなかったよ。何かしたのかと思ったけど、分からなかったし。まさか見られてたなんてね」

『あんな所でキスするのが悪い』

「はいはい。悪かった」



じゃれている。それが一番今の状態に近かったと思う。なのに急に光が真剣な表情になるから。こっちまでそれが移ってしまう。



「いい加減言わないと駄目だな、オレも。言葉にするのが怖くて逃げてたんだ。アンタなら分かってくれるだろう、逃げやしないだろうってタカを括ってた」



・・・要の言った通りだ。彼は光を臆病だと言った。私は光をそう思ったことがなかったけれど、そういう関係がいいのだろうと思っていたけれど、光は違ったんだ。光は口に出すのが怖かっただけなんだ。



「もう降参。アンタ、オレのものになれよ」

『・・・仕方ないから光のものになってあげる』

「なってあげる、じゃなくてならしてほしい、じゃないの?」

『そんなこと言ってると光以外の人のところ行っちゃうから』

「はは、嘘だよ。誰が離すと思ってんの」

『意外と独占欲がお強いことで』

「そう。オレ独占欲強いから覚悟しとけよ?」

『それは大変。どうしましょ。・・・なんてね』













































































「―――好きだ名前」

『私も好きよ、光』
















































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