▼hero

監禁されてから何日経ったのだろうか。もうすっかりなれてしまった。仕事に行かない日々も、携帯に触れない日々も、ここにいる日々も。

彼は私に酷いことをするわけではない。ナニをするわけでもない。ただ彼と私は近くにいて。彼は私を愛でるのだ。愛おしそうに、哀しそうに、嬉しそうに。時々見せる悲しそうな表情が私の頭にこびりついて離れない。ワザとやっているのではないかと疑うほどに。





けれど、終わりは突然訪れた。

私には訪れないと思っていた。・・・思い込んでいたヒーローがやって来た。



「名前、やっと見つけた」



ぎゅうと苦しいくらいに抱きしめられる。どうして光が、とかどうしてここが、とか聞きたいことはいっぱいあったけど、どれも声になることはなかった。口をふさがれていたからだ。光の唇によって。



『んんっ!?・・・ちょ、やめっ・・・・・っあ、ん・・・!』



無理矢理開かされた唇の隙間から光の舌が侵入してくる。ちょっと待て。ここはマンションの玄関(外)だ。通りすがりの人とか見られるんですけど。

まぁどう足掻いても光に勝てないことは百も承知。どうせ私が丸め込まれてしまう。悔しいけれど。

私の頭に本格的に酸素が回らなくなってきた頃、ようやく私の唇を光は解放した。肩で呼吸する私に光は腕を引っ張って、行くよ、とだけ声をかける。ちょっと待って、なんて反論は聞いてくれない。どうにか光が掴んでる私の腕を動かして引き離した。



『待って光。私、わた、し・・・・・・・・・』



私はヒロインじゃない、なんて誤魔化しても無駄だった。心はずっと光を求めてたんだ。けれど。彼を置いていくなんて。あんな哀しそうに笑う彼を一人にはさせられない。たとえ間違えてると言われても。



「何。まさか奴に惚れたなんて言わないだろうな。アンタを監禁してた奴なんかを」

『そんな風に言わないで!!何も知らないくせにっ!!』

「じゃあアンタは知ってるって言うの?アイツの何を?」

『何って、そりゃ色々・・・』



・・・・・・・・・あ、れ?






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