▲because not a heroine

それからは男の人を引っ掛けてはホテルかその人の家に泊まる。たまに彼氏が出来たりしたけど長くは続かなかった。



『最悪だ・・・』



自分がここまで男運がないとは。というか男を見る目?がなさすぎる。まさかイケメンな彼がこんなことをするだなんて。見抜けなかった私は監禁状態。



『マンションだしなー・・・七階から抜け出すとか無理ゲーじゃん』



玄関も窓も、外に繋がるものは全て鍵で固く閉ざされている。携帯も取り上げられてしまい、電話もパソコンもおかれていないこの部屋からの連絡手段はない。彼が出かけているときには暇だからテレビを観るくらいしかできない。一応本は置かれているけれど、どれも難しそうな内容ばかりで、一冊ためしに読み始めてみると十ページも読まないうちに眠ってしまった。元から本を読むなんて好きじゃないし。

そういえば、まだ絵麻と二人きりでいた頃こんな話を見た気がする。ピンチになったヒロインを王子様が助ける、みたいな。確かあの時のヒロインも意地悪なライバルによって閉じ込められていたんだ。

違うのはあの子はヒロインで私はその他大勢なところだけ。その差は大きい。私はどう転んでも物語の主人公になれないし、なれるようなキャラじゃない。私には助けに来てくれるような王子様なんていないんだ。

自分で考えておきながら哀しくなってきた・・・余計なこと考えなければよかった。ただただ何も考えず毎日を過ごせれば楽なのに。どうしてこんな乙女思考に陥ってしまってるのだろう。

いつの間にか日は沈んでいたらしい。ガチャという音とともに彼が入ってきた。・・・いつも通り狂気じみた笑顔で。



『・・・・・・・・・お、おかえりなさい』



蚊の鳴く声で言う。正確には言われている、のだけど。そんなこと今はどうでもいい。彼の機嫌を少しでも取ることが先決だ。損ねてしまうと自分に全て帰って来ることをここ数日で学習している。

































































私は、また、偽者の、笑顔を、浮かべる。





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