▼maybe it

『・・・ん、いたっ・・・・・・・・・』



呑みすぎた。頭が痛い。完全なる二日酔いだ。滅多にないその痛みに頭を抱える。あれ、ここはどこだ。確か昨日三つ子と一緒に呑んでたよね・・・あれ、帰った記憶なんてないんだけど。どうして私は光が用意した部屋で寝ているの?

いくら休みだからって時間を見るともうお昼時。そろそろ起きないと。水、飲みたいし。



「・・・やっと起きたの。おはよ。お粥あるけど食べる?」

『・・・おはよう、うん、食べる。それから水・・・』

「はいはい。用意してやるから座っときなよ」

『んー・・・』



それから光特製のお粥を食べて、水とともに二日酔いに効く薬を飲んで。ゆったりとした時間が流れていた。その雰囲気をぶち壊す一本の着信が私の携帯から流れだす。誰だと見てみるとディスプレイには朝日奈椿と出ている。面倒だけど出たほうがいいのだろう。というか出るまで鳴り続けそうな気がする。割と本気で。



『もしもし?』

「名前ー?元気かー?」

『二日酔いで頭痛いから大声は出さないで』

「はいはいー★」



反省するフリくらいはしろよ。おい。

移動しなかったせいか光の元まで届いたらしい椿の声に彼は顔を顰めた。



『それで?何の用?』

「えー、用がなかったら電話しちゃいけないのかよ〜椿寂しい〜」

『きも』

「ひっでぇ!これでも心配してやってんだからな!」

『あ、そうですか。ありがとうございますー』

「すごいくらいの棒読み・・・まぁ声嗄れてなさそーだしいっか」

『何で私の声が嗄れるのよ』

「何でってそりゃひかにーのせいで。酔いつぶれた名前の写真撮ってゴチになります★ってメール送ったら光の速さで来たぜ?”光”だけに。そん時にひかにーすごい顔してたから大丈夫かなーって腰痛くなってないのかなーって思ってさ」



真面目な声で話されても内容が内容だ・・・というか何?勝手に椿、盗撮したって言ってない?それに何で光に連絡してるの?余計な事を・・・



とりあえず盗撮画像だけは消すように注意して、ありがとうとだけ伝えておいた。そうだ。光を呼んでくれただけまだマシじゃないか。あのマンションに帰るよりは、だけど。



『じゃあねー、ばいばい』



何か椿が囁き始めたからブチと切ってやった。声優だからか知らないけれど電話の初めか終わりに作った声で口説こうとしてくるのだ。こういうのは聞かないのが一番。つい聞き入ってしまっていると面倒になることを最初に椿と電話した時に学んだ。・・・まぁ、それからよっぽどの用がない限りは椿からの連絡なんて受け取らないようにしてたのだけど。どうせ梓から同じ内容の連絡は回ってくるし。

っと、そんなことより。



『何してんの光』

「何ってナニ」

『真昼間なんですけど』

「シたくなったからスる」

『何々〜?構ってもらえなくて寂しかったの?』

「・・・そうかもな」



冗談だったんだけど。マジでかこいつ。さすがに太陽が空高く上っている時間からスるのには抵抗がある。別にきもちーことは嫌いじゃないけれど。



『ほら甘やかしてあげる。スるのは夜にしよ?ね?』

「・・・覚悟しときなよ」

『はいはい』



大分、光の扱いも上手くなったと思う今日この頃です。

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