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コートを跨いで審判の生徒が立っている。みんなもう列に並んでいて、小走りでそこに加わった。


「…………!」

前を見ると、2年生はさすが、大きい人ばかりを集めたように見える。
その中の一人、修斗は隣にいる剛と向かいあっていた。


「お前ら、バスケか?」

「見りゃわかるでしょ」


修斗に荒々しく答える剛を見て、俺は内心ハラハラしていた。
元々仲が良いとは言えなかったが、この前の一件以降剛の修斗に対するあたりがきつい。
間違いなく俺のせいだろう。


口を挟むことなく、二人を見つめていると不意に修斗がこっちを見つめた。

「………なんですかあ?」

身構える様に少し強張った体は、自分の意思じゃない。そんな俺を尻目に、修斗は鼻で笑うように俺を茶化す。


「お前にできんのか?」

「………ッ!」

カァ、と顔が赤くなる。馬鹿にしているのだ、俺を。修斗は俺が運動苦手だと知っている、…まあ覚えているかは知らないが。
俺が体力がないとも昔はよく言われた。…それはもう思い出したくもないような記憶だが。


「…さ、あ…どうでしょお〜?運動は苦手ですけどッ」

羞恥と怒りを必死で抑える。周りにほかの人がいるのに、口論したくはない。
そんな俺を見て、つまらなかったのか修斗は不機嫌そうに俺から視線を変えた。




『……始め!』



そう掛け声があり、ジャンプボールに剛が前に出た。

その向かいに、また修斗。



まだ始まっていないうちから、コート外の歓声は凄まじい。

俺や剛がいるからだけじゃない、修斗も同じ試合にいるからだ。


修斗は学園の生徒会長で、こんなに嫌みで短気でもこの学園の誰よりも人気がある。



(取れ…剛……!)



身長はほとんど変わらない、強いて見るなら1、2cm修斗が高いかもしれないが、差ほど有利不利はないだろう。



ギュッ、と手の平を握りしめて、剛が弾いた時に取りやすい位置に移動した。



ボールが宙に上がる。

高く上がったそれが、叩かれた。


「……あ…………」

それを弾いたのは、僅かに早い修斗の手だった。

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