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場所を変えて、グラウンド。


「うわ………っ、すご…!」


0対14。

断トツだ。もう後半に入ってしまっていたけれど、美山先輩がボールをずっと側につけている。
なんだか普段は剣道、とか柔道、とかのイメージが強いからこんなにできるとは思ってなかった。
恐らくキャプテンなんだろう。
仲間のパスは殆ど先輩に繋げていた。



「またシュート決まったよぉ!」

「上から見たい試合だな…」


高校サッカーのテレビ中継に出られるんじゃないかってくらい先輩のプレーは上手い。ロングパスを出された仲間の方が取るのに苦労してるみたいだ。


声をかけようと思ったけれど、プレーの邪魔になりそうだからやめとこ。
後日生徒会室で見ましたって話そう。


そしてこっちも応援がすごい。
ただ、サッカーだけあって結束のある応援というか…………チアリーディングって女がするもんじゃねぇの?
じっと見ていたら、その中の一人が俺に気付く。



「会計さま!…どうかしましたか?あ、よければごいっしょに……」


「…いや、え遠慮しておくよぉ!頑張ってぇー」

「してみりゃいいのに」


となりの剛がにやりと笑う。俺がああいうことはしないとしっているくせに。
大体、俺はあんな高く足上がんねーよ。



「剛がやったらいいんじゃないのぉ?」

「勘弁。それ誰が得すんだよ」

「俺のラインダンスも誰も得しないもんねーっ」

「それは俺が得する」


そう言われて、目をパチクリ。剛がニヤリと笑った。最近の剛は悪趣味で、意地悪になってきてるような気がする…



「あ、時間やべえ行くぞ!」

「えーっ…もう!?」

最後まで見たかったのだけれど。
それでも自分の競技をほったらかしには出来ないから、しかたなしに体育館へと向かう。
あのままなら勝ち上がりは間違いなしだ。

頑張って、先輩。

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