23

さっきの穏やかなムードとは一転、俺達二人は風紀に連れられてお説教部屋らしいところへ。
サボり生徒を捕まえて説教なんてまるで教師だ。ということはここの教師はかなり楽してるな。

なんてどうでもいいことを考えているけれど、目の前ではかなりご立腹らしい風紀委員。


「おい、ちゃんと話を聞けよ!」

「聞いてますようー…」

「嘘つくな、明後日の方見やがって!」


分かってるなら聞くなよなんて、言える空気ではないから言わないけれど。
隣で剛は、受け流すように「次から気をつけますんで」なんて、ありきたりな謝罪。
俺も便乗するかな。


「俺も次から気をつけまあす」

「信用ならん」



初対面なのにバッサリ切り付けられてしまった。
サボりなんて初めてだから知らなかったけど、こんなに警備厳しいのか。



「……どっかで見たと思ったらお前ら、生徒会か?」


「?はあ…そうですけど」


投げ掛けられた質問に答えると、はあ…とため息を疲れた。


「学園の代表が情けないな……」


そう言われ、少しムッとする。授業をサボったのは事実だから反論は出来ないが、俺はそんなにふまじめなわけじゃねえよ。
こんなナリだし仕方ないかもしれないけれど、大体学園の代表なんて大袈裟なんだよ。


彼がなにやら紙にサラサラとなにか書いて、俺達に原稿用紙を差し出そうとした時。


「今回は反省文3ま……………」




「まあまあ、初犯だから許してあげてよぉ」



どこかで聞いたことがある声だ、そしてこの話し方はと思った。
後ろの扉を見ると、案の定そこにいたのは風紀委員長で。


「お久しぶりっす」

「こんにちはぁ」


剛の後に続いて挨拶をするとゆるゆると手を振られた。


「黒ちゃん、まあそんなに怒らなくても………ね?」

「…先輩は知り合いには甘いんですから………」


黒ちゃん、というのはどうやら前にいる風紀委員らしい。
先輩のおかげでどうにかお咎めが避けられそうだ、後で一応御礼を言っておこう。


なにやらこじつけのような理由を持ち出して、俺達を庇う先輩に、黒ちゃんと呼ばれた彼は顔をしかめ、諦めたのか仕方ないですね、と呟いた。



「神崎先輩に免じて今回は見逃すけど次はないからな」

「はあーい」


委員長に丸め込まれたらしい彼は、俺らを一度キッと見て、奥の部屋へ戻った。

心なしかさっきより視線が鋭かったような……



先輩の方を見ると、笑いながら言った。

「あの子素直でかわいいでしょお?俺に甘いの。…あ、怜くんのがかわいいけどねぇ」



先輩のかわいいの基準は分からない。
でも、先輩がちょっと性格悪いことは分かった。




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