22

修斗のことを振り払うように、不思議そうに俺を見つめる剛を見た。


「なに?」

「や……、なんでもな…あっ、さっき剛、嫉妬って……」

ふと思いだして剛に尋ねる。
すると剛は少し照れたようにそっぽを向いた。


「会長から話聞いて…分かった。俺は所詮まだ出会って間もなくて」

「…?」

「怜のこと知ったつもりだったけど、そうじゃなかった。でも会長は怜の昔を知ってる」


早口にそう言うと、俺に向きかえって、「だから、ちょっと悔しくて怜に当たった。ごめんな」といって俺に頭を下げた。



「ちょ、剛!頭あげてっ」


面と向かってそう言われ、俺の顔もつられたようにジワジワと熱くなってくる。

剛、直球すぎだろ。なんで照れているのかは分からない。
分かったのは、剛も多分、俺と同じくらい俺を好いてくれているということ。



「ごぉ、ごぉ…」

「なんだ?」

「へへ、…ありがと」


ケンカはしたけど、剛に迷惑も掛けてしまったけれど、俺の中の剛への信頼度は7割増しだ。


根拠はないけれど、剛にならなにを話しても大丈夫だと思えた。



「なに、俺をまた照れさせるつもり?」

「へへー」



二人だけの穏やかな空気。
今日は空に雲一つなくて、絶好の昼寝日和って感じだな。普段は服を汚すと洗濯が面倒だからと地面に寝転ぶのは嫌いなんだが、今日はなんとなくいいかと思えた。


「ね、今の授業終わるまで此処で寝とこーよっ」

「珍しいな、別にいいよ」


コンクリートに寝そべると、まだそこはヒヤリと冷たくてちょうどいい。
寝返りを打ったら剛と目が合って、お互い笑った。


…でもまあ、授業をサボった俺たちに昼寝の時間は与えられなかった。


「おい!授業中に何をしているんだッ!」

けたたましく扉が開き、俺でも剛でもない人の声。びっくりしてそちらを見ると、風紀の腕章を付けた眼鏡の硬派っぽい生徒が仁王立ちして、離れたところから俺達を見下ろしていた。


「あちゃあ………」

「ったく、なんで授業中に見回りやってんだ……」


渋々起き上がると、また剛と目を合わせ二人して苦笑した。

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