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「俺は…、会長とッ怜が…ハ…」

「…………」

「昔何があったと、しても……」




ピーーーーーッ!
笛の音が鳴り響く。
周りの奴らの動きがとまる。



「お前から、怜を……守るんだからな………」

「………好きにしろ」



ああ、好きにさせてもらうぜ。
コイツの容姿が完璧であっても、バスケで惨敗しようとも、怜を守る方法なんて山ほどある。

コートの中心線に向かい合い、互いに頭を下げて挨拶をした。

点差は結局埋まらず、準決勝には進めない。
悔しいけれど、今の俺じゃ勝てないのなら腕をみがくしかない。


「もういっかいバスケでもやるかー…?」

来年こそ絶対に怜に驚くようなところを見せる。
どんなやつにも負けねー。

寮制の高校に入ってからはケンカを吹っ掛けられることもないから筋肉が少し落ちたかも。
怜は知らない。俺がここに来るまでには結構暴れてるってのを。言う必要もないし、避けられるかもしれないと今後言うつもりも無かった。


でも、俺が怜と会長との過去を知ったとき、怜に少しキレた。
今思えば秘密なんてあるのは当たり前だ。それでも俺は怜の多くをしったつもりになって。
隠しごとを咎めるつもりは無かった。勿論今もだ。

ただ、俺はこの学園で一番怜のことを知っているのだと、分かっていると自惚れていたから。



(昔、なにがあったかなんて……)


この前俺は怜に言った。
そんなことは俺達には関係ない、と。

でも実際気にならないわけはない。



「昔付き合っていたならなんで……」


気まずいのは分かる。
元恋人、しかも男。俺は偏見なんてないし、むしろ怜に惹かれてるけれど皆が皆同性愛に寛容な訳でもないだろう。

でもいくらなんでも気まずすぎやしないか。
普通、もう恋心がなくなった相手なら昔話に花を咲かせるくらいあるもの。

それなのに怜はあからさまに会長を避けてる。


(恋心、か………)

怜は会長のことをどう思っている?
今の態度をみているとまだ好きだとか、そういう態度ではない。


…それでも、本当に嫌いなら意識するどころか無視するもんだろ?



「………っあー!!わっかんねー………」


暑い。熱の篭った体育館では汗が滝のように肌を滑る。
頭をガシガシと掻きむしる。あー、汗かいたまま怜のところに行きたくねえ。シャワー浴びてぇ。



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