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「どぉしよ……今から急いで戻ればちょっとは続き見れるかなあ?」

「終わるか終わらないかくらいじゃない?」


試合には途中から交代なんてできると思ってないけれど、かわりに応援したい気持ちではある。


少しでも様子を見たいと思い、ひなちゃんに声をかけようとしたら、俺より先にひなちゃんが口を開いた。


「そいえば、さっきこけそうになってたじゃん」

「えっ……あー、うん…そーなんだよねぇ!鈍臭くてさ」

「会長さまでしょ?引っ張ってくれたの。お礼いったの?」


ひなちゃんのいきなりの話題転換にどきりとする。
笑ってごまかそうとするけれど、ひなちゃんはより辛いところを突いてきた。


「ま、た…仕事の時にでも」

「会長さまと何かあったの?」


単刀直入なひなちゃんの言葉は、飾ってなくて好きだけれど困るときもある。

剛といいひなちゃんといい、俺の周りは聡い人ばかりだ。
俺が分かりやすいのか?…そんなつもりはないし、高校にくるまでそんなことを言われるのは滅多に無かったんだけどな。




「あはは…ちょっとケンカしちゃった…みたいな?」

「ケンカ?」

「ん……ってゆーか、嫌われてるからさぁ、多分」


そう言うと、ひなちゃんは眉を寄せた。
まあ当たり前だけど。実際けんかっていうわけではないし。


「怜が嫌われてるの?」

「うん……?」

「怜が避けてるんでしょ?」

「…………分かるのぉ?」

冷静な声で問われて、一瞬笑顔が固まった。


「僕、いつも言ってるじゃん。見てれば分かるって」

「……うん」



修斗はきっと、俺のことなんかさほど気にしていないだろう。
俺ばかり修斗を気にして、避けて。

そういうのは虚しいと分かっている。




「……………」



やっぱりもうちょっとここにいようか。
剛が来てくれるまで。






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