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「大丈夫ですか……?」
「うん、大丈……ちょ、いたたたた!!曲げないでー!」
「折れてはないと思いますよ!」
in、医務室。
結局、リードを許したまま5分休憩をはさんで後半戦……のはずだったけど、なんだか指がおかしい。
念のため、後半戦をリタイアして湿布を貰いにきたのだ。
「ひなちゃん、容赦ないねぇ……」
「まあまあ、このくらいじゃ折れないですから」
「むう……でも、ごめんね付き合わせて……」
「なに言ってるんですか、バスケは怜さまを見に来てたんですからなんてことないです」
「他の隊員も心配してましたよ?」と言われると、せっかく見に来てくれていたのに結局なんの活躍もしていないのが恥ずかしい。
つーか、あれだよ、一応前の親衛隊の会議で球技大会は見に来なくていいって念押しまでしたんだ。なのに見に来る方が悪い。
「試合、どうなったかなあ……」
前半終わって、点差は10点。後半皆が疲れているなかで10点を取り返すのは中々辛いんじゃないか。
「試合が終わったらきっと、鳴海様がこちらまでいらっしゃると思いますよ?」
「っていうか、俺なんにもしてないからぁ…」
そういうとひなちゃんはクスッと…というよりもふっと笑って、
「いーじゃん、親衛隊のみんなもかわいいって言ってたよ」
突然二人の時の口調に戻ったひなちゃんに目をぱちくり。よく見れば、タイミングが良いのか悪いのか、今は俺達しかいないようだ。
あまりの変わり身の早さにいつもちょっとびっくりしてしまう。
「かわいいって、俺も男なのにー……」
「今更じゃん」
軽い反論もすぐにバサッと斬られてしまった。
でもそうしている間に指には湿布が貼られ、何重か軽く包帯が巻いてあった。
「はい、できた」
「ありがとぉー!」
「お風呂は取って入ってよ?」
「はぁーい」
さすが三年にもなるとこういうことも自分で出来るのか。ひなちゃんは顔も女っぽいし、女子だったら運動部のマネージャーとか出来そうだな。しかも飾らないし、モテそう。
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