05. 『平助…きて………』 「香織……」 ベッドの上。絡み合う男女。仰向けになっている香織の上に俺がのしかかる。そして彼女の唇に触れようとした瞬間―――俺はベッドから落ち、夢から覚めた。 「………嘘だろ」 最悪だ、と頭を抱え込んだら丁度見えた俺の息子。男子高校生らしく素直に反応している。白い液体がパンツについていないのが救いだろうか。急いで俺はトイレへ向かい、一度出してしまって沈めようとする。その時に何度もちらつく夢の中の香織。可愛く、厭らしく、俺を誘惑する香織。そんなことを考えていたらあっという間に達してしまった。 「…俺、今からどんな顔して会えばいいんだよ」 香織で抜いた、なんて。たとえ妄想だとしても香織に申し訳なくなる。わるい、でも、お前だって悪いと思うぜ?この間のことなんてネタにされても仕方ないだろ。 『……け、平助?』 「あぁ、悪い。何だ?」 『いや、いつもにも増してぼーっとしてるなって思ってさ。ね、千鶴』 「うん。どうしたの?具合悪い?」 「ちょっと考え事してただけ!ってかいつもにも増してってどういうことだよ!!」 『そのまんまの意味だけど』 「ひっでぇ!!」 今朝のこと思い出してました、なんて誰が言えるかっつーの。あんな夢のおかげで俺は妙に意識しちまうし、香織の身体のラインとか気になっちまうし…最悪だ。 改めて見ると彼女は女の身体をしている。特に意識してなかったけど、丸みを帯た柔らかそうな身体。女らしく出るところは出ていて、引き締まるところは引き締まっている。それに触れたい、そう思ってしまった。 「平助君?やっぱり具合悪いんじゃ…」 「…!!やっぱりそうみたいだわ!保健室行ってくる!!」 『一人で大丈夫ー?』 「着いて行こうか?」 「いや、大丈夫だから!千鶴、先生に言っておいてくれ」 「分かった」 …勿論、元気だと診断され保険医の山南先生に保健室から追い出された。授業も始まって数十分経っている。今更戻る気になんてなれなくて一人屋上で物思いにふけっていた。 ×
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