04.



今日は俺の家でゲーム大会。小さい頃からやっているソレは最早習慣化している。月に一度こうして思い切りゲームしないと遊んだ気がしねぇもん。



「香織ちゃん、千鶴ちゃん、ご飯食べるわよね?」

『ありがとうございっ…ちょ、今はずるい!!』

「余所見なんかしてっからだろ」

「ありがとうございますっ…!よし!」



千鶴のプレイしていた3Pの画面にはWINの文字。俺たち二人の画面にはLOSEの文字が出ている。俺の母親の言葉で集中力が切れた香織。その隙を突いて香織に攻撃していたら背後から来る千鶴に気付くのが遅れてしまった。その夜も白熱した戦いが続き、俺たちが睡眠を取ったのは翌朝の朝日を見てからだった。



「…んん」



カーテンから漏れた日差しを浴びて俺は目を覚ました。まだ二人は眠っているようだ。ベッドで寝ている千鶴もソファで眠っている香織も寝息を立てている。



「………ったく、俺だって男なんだからな」



寝苦しかったのか千鶴は上に着ていた服を脱いでキャミソール一枚になっているし、香織はボタンをいくつか外しているおかげでブラが丸見え。今までも何度かあった光景だし、初めのころこそ顔を真っ赤にして怒ったけど、今は何も見ていないふりで布団を掛けてやるくらいには大人になった。香織に布団をかけようと近づいたときだった。胸の谷間当たりに見えるその跡。そんなところに付けるのを許されているのは一人だけ。心が黒くなるのを感じた。



「…くそっ!!」



駄目だと思うほどに黒い心に支配されていく。俺とこいつは、幼馴染で、こいつには付き合ってる人がいて、俺が手を出していい奴じゃない。なのに、なのに。



「…どうして俺じゃねぇんだよ。香織………」



香織の胸元に顔を寄せたところで思いとどまった。今、ここで香織を自分のものにしてしまうのは簡単だ。いくら俺と身長が変わらないといえ、男と女。力の差ははっきりしている。だけど、そうじゃない。そうじゃねぇんだよ。

なるべく彼女を見ないようにしながら布団をかけ、俺は家を出た。駄目だ。こんな所にいたら、いつ、俺が手を出してせいまうか分からない。あんな無防備な状態でいられると俺のことなんて男として意識してないと言われたようなものだ。なのにあのとき、自分も跡を付けたい…なんて思ってしまった。



「あー、むしゃくしゃする!!」



俺は行く宛もなく走った。


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