放課後、やっと授業が終わったと大きく伸びをする。

今日は私の所属する剣道部は道場の点検の関係でお休みだ。斎藤先輩は弛まないように、と注意を促していたけれど休みの日くらいゆっくりしたい。家でたまったテレビでも観ようと教科書にノート筆記用具を鞄の中にしまっていく。廊下を歩いていると背中に軽い衝撃を受けて振り返る。



『…平助』

「名前、帰るならオレに言えよなー!一人で帰るなんて水臭ぇじゃん」



そう言って平助は自然に隣を歩き始めた。平助と二人きりになるのは割と久しぶりかもしれない。いつも千鶴ちゃんとか沖田先輩とか斎藤先輩とかと一緒にいたから。いつもよりゆっくりな足取りで帰路に着く。折角の2人きり。すぐに過ぎてしまうのは勿体ない。

そんな私の気持ちとは裏腹に、あっという間に家に着いてしまった。もうお別れか、また明日と言おうとした私を遮って彼は私の家の中に入って行く。



「名前、今日は親いないんだろ?じゃあお邪魔しても良いよなー」



自分に都合の良いことばかり並べて平助は慣れた様子で私の部屋まで進んでいく。え、ちょ、待って。いきなりだから私の部屋片付いてない…!

ちょっと片付けるから待ってて、と無理やり平助の腕を掴んだ私はリビングに方向転換する。お茶を用意して、5分だけ待っててと叫んで私は部屋へダッシュした。



『…お、お待たせ』



当然散らかった部屋を5分で片付けることは不可能で。ついでに家にいるのに制服じゃ嫌だからと可愛い服に着替えたから余裕で10分は過ぎた。平助はソファに座っていて、おっせーよと文句を言ってのけたのだった。



『ごめんごめん。ほら、もう良いよ』

「…ったく。じゃあ名前の部屋行くぞ」

『え、まぁ片付けたことは片付けたけど、リビングの方が良くない?こっちの方が広いし』

「いつ親が帰ってくるか分からねぇ部屋で落ち着けるかよ」

『そうかなぁ』

「オレの立場になってみろって」



……平助のご両親は私を可愛がってくれるし、会うのは全然オッケーだ。



『私は大丈夫だけどなぁ』



お前は良くてもオレは嫌だ!って平助が言うから私の部屋で過ごすこととなった。




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