…なにこれ。どういうこと!?私は動揺しながら自分の身体を確認ししていた。見慣れた自室に後輩である平助君がいたからだ。…よし、大丈夫。服はちゃんと着てるし、乱れた様子はない。でも、どうしてこんなことに…。二日酔いで痛む頭を抑えながら昨夜のことを思い出していた。



『平助くーん、しゅき、だいしゅき〜』



…あぁ、そうだ。職場の飲み会で密かに想いを寄せる平助君の隣を陣取れたことが嬉しくて。沢山口を滑らせた…。あぁ、最悪だ。平助君の隣だからって嬉しくなって呑みすぎた。失態だ。今更、後悔しても後の祭り。羞恥と後悔に思わず頭を抱えながらも、私はなんとかその後を思い出す。



『へーしゅけ、くんー…』



派手な潰れ方をした私。しかも平助君の服をしっかり掴んでた…多分。離すことが出来なくて、優しい平助君は私を送ってくれたのだろう。ベッドに入っても私は手を離さなかったのだろうか。



「…ん」

『あっ』



ごめん、と眠っている平助君に謝っていると、その瞼がぱちぱちと動いて、視界に私を映すとゆっくり起き上がった。



『えっと、あの…』



何から言えばいいのやら。まずは謝罪?それからあの言葉の弁解?恥ずかしさで平助君を見れない私に、平助君は一言、酒抜けましたか?と顔を覗き込んで来る。目元に薄っすらとくまを作っている平助君に申し訳なさが増して、私は深く頷いた。



『うん、それはもう…少し頭痛いけど』

「ふーん、で?」

『え?』



で?何が?頭にクエスチョンマークを浮かべながら聞き返した私。はぁー…とため息をついた平助君に、まだ何かやらかしていたのかと不安になる。



「言ったよな?俺、覚えておけって」

『平助君?』

「まさか本気じゃなかったなんて言わないでくださいよ、名前先輩』



え、え、ちょっと待って。何。平助君は何を言っている…?必死に昨日の記憶を思い出していると、一つ心当たりがあった。それは、私が何度目かの好きという言葉を発した時だった。



「酔っ払いの言うことなんて信じられるわけないじゃないですか!」

『ほんとうにすきだってばー!!』

「…クッソ!明日、覚えとけよ!」



口調を荒げた平助君の耳が赤く染まっていたことまで鮮明に思い出した。今、それを思い出している私も赤く耳を染めているのだろう。



「…思い出しました?」

『ひゃいっ!!』

「それで、どうなんですか」



ぎしっとスプリングを軋ませながらベッドに手をついた平助君が私の真意をせがむ。その真剣な表情に吸い込まれるように私は少し震えながらも本心を口にした。



『その…本当に、好きで、きゃっ!?』



言葉の途中でベッドに押し倒された私。私を見下ろす平助君は今まで見たこと無い雄の顔をしていた。



「…ったく、困った先輩ですね」

『平助く、んっ!』



平助君の手がシャツの裾から中に滑り込んできた。くびれを撫でるその手は厭らしくて、身を捻って逃げようとした私を空いた手で押さえつけた。



「先に告白してきたくせに一晩も待たせたんだ。責任、取ってくれますよね?」

『えっ、ん、ふっ、んんん』



熱い瞳で見つめられたと思えば、すぐに繋がる唇。それはすごく甘くて、絡める舌がとろけてしまいそう。

シャツの裾から入り込んでいた手はいつの間にか私の身体を這って、衣服を剥ぎ取っていった。



『ん…ぁっ……っ!』



晒された素肌がカーテンから漏れる朝日に照らされるのが恥ずかしくて私は手で胸元を隠す。そんな私の仕草に目を細め、平助君は私の首筋に顔を沈めた。



『あんっ!』



与えられた鋭い痛みに身体が跳ねる。一瞬、身体の力が抜けたのを見計らって平助君は私の腕を退かせた。



「せっかく綺麗なのに隠さないでくださいよ」



そう言って私を見つめる平助君の表情は艷やかな色気に満ちていて、はじめて見るそれに私の鼓動は煩く、早く鳴り続けた。



[*prev][]

[戻る]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -