池田屋での御用改めを行って、屯所に戻った隊士達はそれぞれ治療に当たったり、各自部屋で休みを取っていた。

俺はというと、千鶴ちゃんと共に意識のない総司と平助を診ていた。二人とも新選組幹部であるほどの腕前を持つ。その二人がここまで傷を負っているのを始めてみたかもしれない。



『千鶴ちゃん、疲れただろ?俺が看ておくから休んできな』

「でも……」

『行ってきな。千鶴ちゃんの伝令のおかげで先手を打つことができたし。十分働いてくれたよ。土方さんには俺から言っておくから』

「…分かりました。ありがとうございます、名前さん」



彼女は昨日、総司とともに巡察に出ていた。まさか三ヶ月ほど前から潜入調査していた古高のもとに乱戦を持ってくるとは思っていなかったけれど。それから休む暇なく池田屋での捕物、彼女も疲れていたのだろう。頑固な所がある千鶴ちゃんだけれど、意外とあっさり部屋に戻っていった。


千鶴ちゃんがいなくなった部屋では総司と平助の苦しそうな息遣いだけが響く。少々熱を出しているようだ。水と手拭いを用意しよう。汗をかいているようだし、きちんと身体を拭かなくては。そう思った俺は手拭いを用意し、井戸へ向かった。



「あいつらの具合はどうだ」

『一君。総司は内蔵が傷付いてるし、平助も額をやられてる。意識が戻っても暫くの間は安静にしないと駄目だね、あれは。でも、まさか総司と平助があれほどの傷を負うなんてね』

「…そうだな」



井戸で水を汲んでいた俺の元にやってきた一君。いつもはきっちりと着込んでいる着物を上半身だけ着崩している彼は水浴びでもしにきたのだろう。けれど、一君は俺の姿を見るなり、脱げと一言。呆気に取られた私は情けない声でえ?と聞き返した。



「その黒装束を脱げ。まだその格好ということは禄に手当もしてないんだろう」

『大したことないから大丈夫だよ、これくらい』

「駄目だ。化膿したらどうする」



ずるずると引きずられた先は一君の部屋。ここで大人しく待っていろ、という一君は烝君の部屋へ治療箱を取りに行ったのだろう。総司達も気になるけれど、ここから移動するわけにはいかない。



『なんで気づかれちゃったかなぁ』



襟口を開いて左肩を見る。そこはぱっくりと刀傷が出来ている。傷は思っていたよりも深かったようだ。血がかなり出ていて、黒装束を汚している。だか黒い服に血が付いたところで目立たない。だからしばらくこのままでいて、血が乾ききったら着替えでもしようと思っていたのだけど。



「名前、何故早く言わない。かなり傷口は深そうだが」

『一君。ごめんごめん。こんな深いなんて思ってなかったんだよ。それに烝君、大きな怪我をした人だけじゃなくて他の皆も診てたから。疲れただろうなって。後で診てもらえればいいやって思ったんだ』

「あんたは女だろう。傷でも残って嫁の貰い手がなくなったらどうする」

『もう女は捨てたんだけど…。でも、もし傷が残っても一君が貰ってくれるでしょ?』

「なっ…!!??」



ちょっと。仮にも恋仲なのにそんな反応する?ま、お互い明日があるのかわからない。将来なんて考えたって、刀を手放せない俺たちは結局のところ、堂々巡りなんだ。



『………俺、怪我してるし。疲れてるんだけど。一君も疲れてるんじゃないの?』

「名前、それはわざとか…?」

『…いいよ。俺も人斬って興奮してるみたい』



いつの間にか俺と一君の距離は零になっていて。お互い夢中になって唇を貪り合う。

たまにあることだ。人を斬った後に来る興奮というか快感というか。どうしようもないくらいに昴ぶるんだ。そういう時は人肌が恋しくなって。こうして一君と肌を合わせるんだ。



『…っん、ふっ………あっ、、、』



激しい口付けの間に隙間を見つけて酸素を取り入れようとする唇の間から一君の舌が侵入する。歯の裏をなぞられて、舌を絡め取られて。開放されるのはいつも互いの唾液がどちらのものなのか分からなくなった頃。そっと俺の身体を布団に押し倒す。



『ちょっと。あんまり見ないで』

「…何故」

『………俺の身体、傷だらけだし。今日の怪我だってある。綺麗な身体じゃないもん』



あちこちにある刀傷。これは俺が新選組のために戦ってきた証だ。それを恥じたことはないけれど、まじまじと見られるとなるとちょっと…。

そんな俺の意志が伝わったのか伝わってないのか、一君はふっと笑うと左肩の包帯の上から触れるだけの口付けを落とす。左肩だけじゃない。今までに出来た傷一つ一つ丁寧に舐めたり口付けたりするのだ。



「綺麗だ」

『…え』

「綺麗だ。あんたの身体で汚いところなど無い」

『こんな身体を綺麗なんて言ってくれるの一君くらいだよ。ありが…ひゃっ!?』



いきなり弱い所を摘まれて甲高い声が出た。え、え、なんで。いつも一君は一言、いいか、って聞いてくれるのに。



「俺以外にも身体を見せるのか?見せてこんな風に触らせるのか?」

『やっ、ひゃ…あっ、や、やんっ……』



ナカに入っている一君の長い手が弱いところを重点的に攻めて来る。そんなわけないって、言いたいのに口から溢れる声は全て喘ぎ声。



「総司や副長、左之にも見せるのか?ここに蜜を溢れさせた姿を」

『…ひっ、やぁっ…ああああああ!!』



とろとろと蜜を吐き出すそこに一君の肉棒が埋め込まれる。待ち侘びたそれに秘所がぎゅうぎゅうと締め付けているのがわかる。…一君の形をそこは覚えてる。



『っ、ひゃっ、そんなっ…んぁ…こと、んっ……っおれ、はっ…んんんっ…あ、あ、っはじめ……く、んっ…だけっ……』

「…っ!あまり、締め付けるな…くっ………」



大きくしないで。その声は言葉にならなくて。もう駄目。もう無理。達しちゃう。目の前が白くなって、俺の意識はそこで途絶えた。




[*prev][]

[戻る]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -