「…え?それ、本当?」

『………本当じゃなかったらわざわざこんな恥ずかしいこと言わない』



ずっとずっと求めてた。入社した時から綺麗な子だな、ノリが良くて付き合いやすい子だなって。社内ではあちこちから噂を聞いたくらいには人気のある彼女。だから当然のようにスることはシていると思っていたのに。

初めてだから、と小さな声で言った彼女の顔は真っ赤で。驚いた僕の顔を見て寂しそうに笑った。



『…面倒、だよね。今なら、ほら、戻れるからさ』



そうしてただの仲の良い同期に戻ろうって?悪いけれど、僕はそんな気さらさらないよ。初めてだなんて思いもしなかった言葉が出たから驚いただけで、現に今、物凄く心の中では喜んでいるんだ。誰も知らない、汚れを知らない彼女。それを僕がこれから壊す。とても甘美な響きじゃないか。

ここで逃げるだなんてあまりにも寂しすぎる。僕の為に逃げ道を用意して。あくまで自分のせいだなんて責め続けて。いくら名前が強いと言っても女の子なのに。



「だーめ、ほら、逃げないで」



名前を思い切り抱きしめてキスをする。舌を絡めるエロいやつ。好き勝手に名前の口内を弄れば酸素の足りなくなった彼女が胸元を叩く。仕方なく解放すればとろんとした瞳で見つめられて理性が吹っ飛ぶかと思った。



「ほら、シャワー行っておいで。最初から一緒に入ろうなんて言わないから」

『いっ…!?わ、分かった…!入ってくる、ね』



初めてだから優しくしてあげたいという気持ちとめちゃくちゃにしてしまいたいという欲望と。彼女のシャワーの音を聞きながら僕は、優しく優しくと念じるのだった。





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