「名前、本当にいいのか?」

『はい。もちろんです』




私は女だということを隠して新選組の一員となった。その事情を知っているのは近藤さん、土方さんや沖田さんなど試衛館の皆だけだ。要するに、幹部の人たちだけとなる。表立つわけにはいかない私は監察方という役職になり、山崎さんや島田さんたちと一緒にすることになった。





「名前、こいつらの情報は?」

『はい。長州の間者ですね。本名は―――』



私の主な仕事は情報収集。それは外部の敵、それだけでなく内部の連中もだ。だからこうやって内部に入り込んだ間者を見つけて調べるのも私の仕事。山崎君には医学の方の仕事もあるからなるべく私と島田君が請け負うようにしている。



『ここが拠点です。長州の者共が数十名います』



きちんと確認の取れているものを副長へと知らせる。



「そうか」

『見張りが厳重ですので襲撃にはあまり向かないかと』



私は収集した情報を元に副長へと報告し、それを終えた後、時間が少し余ったので道場へと向かった。










「おりゃぁぁぁぁぁあ!!」



ガッと痛そうな音が鳴る。その音を立てているのは八番組組長の藤堂平助とその隊士。



『へいすけー、それじゃ稽古になってないよ?』

「うおっ、名前!!驚かすなよー」



どうもこの人たちは稽古には向いていない気しかしない。だって手加減というものを知らないから。まだ斎藤はましかもしれないけれど。もし総司が稽古をした時は隊士たちの怪我の量が半端ない。



『俺の相手してくれる?』

「もっちろん」



私は落ちている木刀を拾い上げ、平助へと構える。そして平助との稽古を始めた。




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