僕は生まれ育った江戸を離れて京に着いた。試衛館の皆は確か浪士組だとか言う組織を発足し、京の治安維持に勤めているそう。僕も入れるかな。



『…すいません、壬生浪士組のところに行きたいのですが』



京の人は冷たい。声をかけても怯えて答えてくれる前に逃げ去ってしまう。土地勘のない場所だから出来れば案内してほしいけれど、それは難しそうだ。虱潰しに探していくしかない。はぁ、とため息を吐いた。この広い京の町でいつになれば彼らと再会できるのだろうか。

適当に大通りを歩いていた。今日の宿も確保しないといけないし迷子になっても助けてくれる人はいない。さぁて、どうするかな。そう思っていた時、前から派手な人たちが歩いてきた。お揃いの服を来て歩いている謎の数人。その一番先頭にいるのは。



『新八さん!左之さん!』

「八重じゃねーか!」

「久しぶりだな!」



久しぶり、と再会を喜ぶ。良かった、いつ会えるのかと困っていたから。江戸から持ってきた資金も底をつきかけてたし。



「なんだよ、京に来てたのかよ」

『皆の噂を聞いてね。入隊出来るかな?』

「土方さんも八重なら文句言わねぇだろ」

「もし言われても俺たちが口添えしてやるよ」

『ははっ、ありがとう』



そうして京の町並みを案内してもらいつつ、屯所まで辿り着いた。あと数日はかかると思っていたのに、こんなに早くお目にかかることができるとは。そのまま土方さんの部屋まで通ししてもらい、入隊の意を示す。



「八重、今の俺たちの現状は聞いてるか」

『先ほど左之さんと新八さんに話していただいたので、なんとなくは』

「俺たちはまだまだ行き先不安だ。会津の協力が得られたとは言えな」



元々お前は武家の生まれだろう。その地位を蹴って、この不安定な生活をしていく度胸はあるか。

もう腑抜けた武士の暮らしなんてしてられない。浪士たちと斬りあいになることもあるだろうし、自分の手を汚すことだって厭わっていられない。それが嫌だって言うならわざわざ京まで来たりしない。



「そうか。今は人手が欲しい時だ。八重が入隊することを嬉しく思う」

『ありがとうございます』



それから試衛館にいた総司たちにも会って。僕には三番組組長補佐という役職が与えられた。



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