☆アイ
あー…むらむらする。生理前になると人よりちょびっと性欲の強い私はヤりたくなる。誰かいい人いないかな、と街に引っ掛けに行こうとしていたところを要さんに見つかった。…ま、言ったら分かってくれるだろう。この人なら。



「名前ちゃん、こんな時間にどこ行くの」

『…ちょっと遊びに』

「女の子がこんな時間に外を出歩くなんて危ないよ」

『いいんですよぉ。絵麻とは違うんだから』



むしろ危ない方が良い。一夜だけの火遊びなんだから。所詮セックスなんて只の運動。気持ちよくなる為だけに動く、愛なんて必要のない行為だ。

じゃあ要さんが相手してくれます?なんてふざけて言えば、俺は愛のないセックスは出来ないな、なんて。アンタ女だったら誰でも良いんじゃないの…。



『じゃ、私は行ってきます。一発やれば収まるだろうし』

「一発って…。女の子がそんな下品な」

『誰もいないし良いじゃないですか。お子様たちはもう眠ってます』



仕方ないじゃないか。最近は朝日奈家の兄弟たちの顔面に慣れてしまって、そこらのレベルじゃ満足できなくなってしまっている。それに仕事の忙しさもあって、合コンに参加することもなかった。

このどうしようもない寂しさを埋めてほしいのだ。誰でも良いから。心の拠り所が欲しい。その人しか見えないようにしてほしい。だけど実際、そんな男なんていやしない。いない者を探している私は滑稽を通り越して哀れに見えるかも。

今度こそ本当に家を出ようとしていた時だった。腕を掴まれて気が付いたら唇がふさがれていた。目の前に広がるのは顔の整った要さんのドアップ。あ、まつげ長い。



「…いるんだけどな。ここに。名前ちゃんの寂しさを全部受け止められるような男が」

『さっき、愛のないセックスはできないって』

「愛があるならできるんだよ。名前ちゃんは強引なのが好きなんだ?じゃあ勝手に奪っても良いよね」



なんて自分勝手な言い訳を並べて舌を絡ませ合って。そのまま歩いて行った行き先はジュリには絶対に言えない。




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