☆大きいのと小さいの


「「『あ』」」



レンタルショップで私と男二人の声が重なった。

とある休日の昼下がり、私はレンタルショップに来ていた。自社ゲームの買取価格と中古販売価格の市場調査と、以前気になっていたドラマのDVDがレンタル始まったと聞いたためである。

偶に来るくらいなら面白いかも、なんて思いながら一通り店を周っていたところだった。店の奥の方、怪しいのれんのかかる場所から義兄弟となった二人が出て来た。



『要さん、椿君』

「名前!こ、これはその…っ!」

「名前ちゃん。つばちゃんを怒んないでやってね。俺が引き入れたものだから」

『…要さん、顔笑ってますけど』

「ごめんごめん。つばちゃんは巨乳の女の子ばっかり見ちゃっただけだよね」

「かな兄!!」

『……さいってー。すいませんでしたね。小さくて』



違うんだって!名前!!なんて聞こえて来たけれど無視だ無視。さっさとレンタルだけして帰ろう。市場調査は終わったし。

それにしても兄弟2人で成人向けコーナーに入るとは…。羞恥がないのか。……うん、あの二人にそれを求めるのは無駄なだけな気がする。なんたって朝日奈家二大問題児だし。

そのままマンションに帰ればエントランスの花に水やりをしている祈織君と絵麻の姿。ただいま、と声をかけてそのまま部屋に。ぼふんとベッドで身体が跳ねた。

…面白くない。男だからそういうのが必要だって言うのは分かってる。やめてって言うわけじゃない。だけど私以外の人なんて見ないでって思ってしまった。自分のほぼ平らな胸を見る。こんなんじゃあ浮気されるのも遠くないかも。そんなことを考えていたらなんだか悲しくなってきた。

部屋で一人落ち込んでいたらピンポーンとインターフォンが鳴る。誰だろうとドアを開ければ目の前には椿君。どうやら謝りに来たらしい。いや、別にいいって。生理現象だって知ってるし。そこまで純情とかじゃないし。



『…やっぱり椿君は大きい方が良い?』

「いや、見るのと触るのは別っつーか…っ!名前の胸は感度抜群じゃん!それに俺が育てるからいーの!」



ってことでっと。なんて言いながら椿君は私をベッドに押し倒す。ちょっと椿君、なんて言って抵抗しても意味をなさない。



「名前、胸小さいの気にしてたっしょ?俺がちゃんと大きくしてやっからなー!」

『えっ、ちょ、やっ…ぁん!』



その日から丹念に胸を責められて。その効果か胸のカップ数が変わったのは数ヵ月後の事だった。


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