★嫉妬


『………はぁ』



もう何度目か分からない溜息を私は吐く。これもそれも全部棗君のせいだ!仕事が忙しいのは分かるけど、全く連絡の来ない携帯を見るのに疲れてしまった。

そもそも営業部に属する棗君と開発部に属する私とじゃ休みがなかなか合わないのだ。お互い残業や臨時出勤で忙しい。折角の休みでも疲れ切ってしまっていて、前にデートをしたのは何時のことだろう。デートの回数が減って、お互いの家に行くことも無くなって。しまいには連絡をすることも無くなってしまった。



「「「『かんぱーい!』」」」



今日は会社の飲み会。大きな案件が無事に終わり、先方からもオッケーが出た。これでやっとゆっくり出来る…。

いつの間にか隣に据わっていたのは風祭君。いつも煽ててくれるから私も調子に乗っちゃって。風祭君は棗君と私が付き合っていることも知っているし、中の良い友達みたいな。本当のことを言うと風祭君の隣にいることが今はすごく楽だった。

上司への愛想笑いもそこそこに、飲み会は終了した。私はというと足は千鳥足で風祭君に支えてもらわないと一人で立っていられない。うーん…なんて頭を抱えて駅に向かっている時だった。突然横から伸びた腕に身体が傾けられた。



「わっ!?ちょっ、名前?…って朝日奈かよ。びっくりさせるな」

『………棗君』

「じゃー、名前のことは頼んだぜ。彼氏の朝日奈棗くん?」

「…当たり前だ」



あ。やばい、棗君、怒ってる。なんで怒ってるかなんて分からないけれど。とりあえず雰囲気とか顔で怒っていることだけは分かった。

そのまま裏路地に連れ込まれ後ろ手に両手を掴まれてしまえば私は自由の効かない身となる。さすがにそれは…って力の入らない手で抵抗をしていると背後から覆いかぶさった棗君に顎を掴まれ唇と唇が重なり合った。

チュクチュクと厭らしい音が町の喧騒と共に耳を支配する。このままでは誰かに見られてしまうのではないか、なんて心配するけれど棗君はそんなこと構わないと言った様子で事を勧めて行く。ブラウスのボタンを片手で器用に外して、ブラも上にずらされてしまっては、胸を守るものはもう何もない。手で隠したくとも後ろで手を掴まれているから、胸を突き出すような体勢しか取れない。



『んっ…ふっ、ぁんんん………ん、んん、やっ…』



胸の飾りを触られて反応してしまう浅ましい身体。絡み合う舌に酸素が上手く吸えなくて、ただでさえ酔っているのにこんなことをされてしまっては酸欠になってしまう。蕩けていく思考。気持ち良いのと気持ち悪いので何が何だか分からなくなってしまいそう。

いつの間にか胸にあった手は下へと下がっていて。身体のラインに沿うようにお腹、お尻、そして太ももまでなぞるとスカートの裾から手を入れてきた。スカート捲りあげないで!



「………なんだ、パンツの上からでも分かるくらいグチョグチョじゃないか。期待してたんじゃないのか」

『…んんっ、そんなことっ…なっ、ぁん、いっ……ふっ、んあっ…』



今まで全然かまってくれなかったくせに、何で今こんなことするの?…もう、私に気持ちはないんじゃないの?もしかして気持ちはないけれど一応彼女だし、身体は自由に出来るなんて思ってる?

私はもう何が何だか頭の整理が付いていなくて怖くて。でも、棗君にこうやって触れ合えるのを嬉しく思っている自分もいる。棗君に乱暴にされた所が痛い。棗君が触れた所が熱を孕む。

棗君の指によってあっという間にトロトロに融かされた蜜壺。其の入り口を彼の熱い男根が行き来する。自分でも秘所がひくついたのがわかった瞬間、棗君が入って来た。指とは全く違う圧迫感に呼吸がうまくできなくなる。



『あっ…は、っぁっ…!……ふっ、あ、あ、ぁ!』



勢いよく奥まで突かれてはギリギリまで引き抜かれる。私の好きな所を好きなタイミングで擦られて、駄目だ、快楽のことしか考えられない。

いつもはこんな強引なことしないのに。顔をみたいって私がいつも言うから後ろからなんてしたことなかったのに。今日はそんなことお構いなしだ。後ろからだとやっぱり顔が見えなくて、いつもと進め方が違うせいも相まって、まるで知らない人に無理やり犯されているかのような錯覚をしてしまう。

片腕で腰を支えられ、もう片方の手は痛いくらいに私の乳房を鷲掴み。キス一つしてくれない棗君。だけどソコは私の意思とは関係なく熱棒をギュウギュウ締めつける。棗君が子宮口に当たる。その度に私の口からは大きな喘ぎ声が漏れていく。もうすぐラストスパートなのだろう。突くスピードが早くなっていく。



『やぁ、あっ、んぁっ……はっ、あぁ、んんーーー!!』



棗君が私の最奥を突いた時、私は果てた。そして少し遅れて爆ぜる棗君。ナカに出されているのがわかる。…まずい、早く出さなきゃ。そう思っているのに棗君の支えを失った身体は力が入らずにへなへなと地面に座り込んでしまう。肩で息を整えて、乱れた衣服を直して。ほら、と差し出された手を頼りに立ち上がる。



『………なんで、ナカに、出したの』



最近は全然だったくせに…と聞こえないくらいの音量で言った。だって、最近はエッチどころか連絡しなくなった。好きだ、とたった一言言わなくなった。会うことすら、会社でたまたますれ違うだけだったのに。自然消滅、なのかな。なんて悩んでいたというのに。



「……悪かった。もう、俺はお前を離せないんだ」



連絡するのも会いに行くのも、名前から逃げていただけなんだ。もう逃げないから。ずっと離れないでいてほしい。



『私も、ごめん。忙しいって言い訳してた。…前のように連絡してもいい?会いたいって言っていい?』

「もちろん。俺からも連絡するよ」

『ははっ、じゃあ、よろしくおねがいします』

「こちらこそ」



なーんてお互い頭を下げ合うから笑ってしまった。




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