☆贈物


『…まさか入ってくるとは思ってませんでした』

「せっかくだから名前ちゃんにプレゼントしようと思って」

『すでに色々貢いでもらっちゃってますけど』

「可愛い義妹が甘えてきたら、つい、ね」



下心が見えるような気がするけれど、それを良いように利用しているのは私だから何も言えない。

今日だってお休みだって聞いたから要さんに車を出してもらおうと、いつもより高い声ですり寄った。連れてきてもらったアウトレットで服を買っては荷物を持ってもらって。ブランド物のパンプスの購入を迷っていたらさっとレジまで持って行って買ってくれた。最後にランジェリーショップに行きたくて、中に入りますか?ってふざけて聞いたらまさかの返事はYESで。ブラやショーツが並ぶ店内に要さんと二人で入った。



『要さんはどーゆーのがお好みですか?』

「名前ちゃん、選んだやつ着けてくれるの?そうだなぁ」



要さん、鼻の下が伸びてます。別に見せるわけじゃないんで。それに物によってはお値段と相談しなくちゃいけませんし。

店内を歩き回る要さん。一歩間違えたら変態っぽいのに、店員さんはこちらを向いてニヤニヤしている。多分、私達をカップルだと思ってるんだろうな…。まさか義兄妹で下着屋に来ているなんて誰も思いやしないだろう。女装した光さんとなら姉妹で来ましたって感じで行けるだろうけど。



「これとかこれが似合うんじゃない?」

『んー………じゃあ、これにしますね』

「試着は」

『サイズぴったりのやつ持ってきといて何言ってるんですか…』



何でサイズ知ってるの、って叫ぶところだった。どうせ人の身体をたくさん見てきたであろう要さんのことだから服の上からでも何となく分かるんだろうな、と納得させて呑み込んだのに。

名前ちゃんって意外と胸あるよね、セクハラで右京さんにチクりますよ、それは勘弁願いたいなぁ。

選んだ下着をレジに持っていく。生地的にはそこまでの大きさじゃないはずなのに服とかと比べるとお値段するんだよなぁ。でもヨレヨレの下着を着ているのもどうかと思うし。特に男に囲まれた生活をしているのだから。

結局財布を出すことなく会計が終わって。店員さんが外から見えないように商品を包んでいき、紙袋を手渡されてショップを後にする。荷物を後部座席に置いて助手席に乗って。車が駐車場を出て、赤信号で止まった。



「名前ちゃん、今夜それ着けて部屋に来てよ」

『………食べてみたいホテルのディナーがあるんですけど』



そこに連れて行ってくれるなら考えても良いですよ、なんて照れ隠しは要さんにはお見通しなんだろう。




[*prev] [next#]


戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -