声が隣に聞こえないよう堪えた五日め

彼が暇だったところを見たことがあるだろうか。そう思うくらい新選組副長土方歳三は毎日忙しそうだった。最近は特に池田屋事件や禁門の変の後処理に追われているみたいで、夜遅くを通っても灯りがついていることの方が多い。私に休みくれる前に自分が休まないと身体壊しちゃいますよ、なんて言ったところで聞いちゃくれないことが分かりきっているので強硬手段で休ませることにした。丁度、近藤さんもトシが働き過ぎで心配だって漏らしていたのを知っているし。一肌ぬごうじゃないの。

そうは思っても簡単に思い通りになってくれないのが土方さんで。私の思惑に気づいたなら大人しくしてくれれば良いのに徹底的に弾くのだ。あぁ、もう。こうなったら最終手段だ。この手はあまり使いたくなかったのだけれど仕方がない。どうせ明日も休みだ。起き上がれなかったら起き上がれなかったで総司くんと一緒にごろごろしよう。それなら総司くんも大人しくしてくれるだろうし、私も腰を休ませられるし一石二鳥だ。



『お疲れ様です。土方さん。お茶淹れてきました。少し休憩しませんか?』

「…京香か。何してる」

『お茶淹れてます。これくらいはさせてくださいよ。手持無沙汰なんです』



夜。いつものように灯りの燈る土方さんの部屋にお邪魔する。銭湯に入って浴衣を着た私はそのまま土方さんの隣に腰かけた。少しは休憩してください、千鶴ちゃんも心配してました。なんて言えば俺は忙しいんだよ、なんて言う。あぁ、もう、素直じゃない人なんだから。

どんといきなり土方さんの胸元を押して、畳の上に押し倒す。意外と簡単に倒れた彼は油断したのか無抵抗だった。



『…ね、実は夜這いに来たって言ったらどうします?そろそろ溜まってたなじゃないかなーって』

「………とんだ阿婆擦れを拾っちまったもんだな」

『ふふっ、いいじゃないですか。お互い気持ちよくなりましょ?』



するりと襟の合わせ目から手を侵入させて、立派な筋肉で覆われた胸筋を撫で上げればその気になったらしい土方さんは、簡単に私を押し倒す。体勢逆転と言わんばかりの表情に少し雄が入っていた。…よし、その気にするのはうまくいったみたい。やっぱり溜まってたのかな。



『なんだ、自由にさせてくれるのかと思ったのに』

「てめぇは黙って喘いでたら良いんだよ」

『…嫌ですよ。隣に聞こえるじゃないですか』

「聞かせてやりゃいーだろ」



本当にこの色男は。手慣れている分、質が悪い。簡単に帯を解いて一糸纏わぬ姿にされてしまう。負けじと彼の帯を解けば、綺麗な筋肉が目の前に。すぐにそんな余裕はなくなって、気持ち良いことしか考えられなくなってしまうのだけど。



『っ、ぁ、んっ………っ、ふ』



胸の飾りを弄びながら蜜口の周りをなぞって豆を潰して。敏感な箇所から与えられる刺激に私はだらしなく愛声を上げる。無理やり掌で声を抑えていたら気に食わなかったらしい土方さんに頭の上で両手を拘束されてしまった。



「聞かせちまえよ、屯所中に。その甘い声を、な」



ぺろりと唇を舐める仕草はとても色っぽっくって。それを皮切りに熱い肉棒が抉り込まれた。



『っ〜〜〜〜!!』



いくら私でも羞恥くらいはある。隣にこんな情けない声は聞かれたくない。必死に下唇を噛んで声を出さないように力を入れる。それを無意味にしようと土方さんは激しく男根を出し入れする。敏感な箇所を掠りながら。ジュブジュブと液体が混ざり合い、膣に入りきなかった分が流れ落ちていく。男と女の匂いが部屋に充満する。



『ぁ、っ…ん、ふっ、んん!』



顎を掴まれ半ば強制的に目線を合わせさせられ口を塞がれる。ねっとりと舌を絡ませ合えば、土方さんと私は恋仲で愛されているんじゃないかって勘違いしそうになる。時折耐えられなくなった声が口から漏れて。私は土方さんから与えられる快楽を享受していた。打ち付ける速度が速くなり、最奥までぐりっと押し付けられた時、あっけなく私は達してしまった。私が達したことでぎゅうぎゅう締め付けるのに耐える土方さんは綺麗な顔が快楽に歪んでいてとても興奮する。

土方さんの汗がぽたりと私の頬に落ちて来たと同時にギリギリまで引き抜いた熱棒が捻じ込まれる。さっきは声をよく耐えたじゃねぇか。ご褒美やらねぇとなぁ?なんて口角を上げた土方さんはとても悪い表情をしていた。





土方さんと声が隣に聞こえないよう堪えた五日め



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