どうやって戻ったのか覚えていない。
子龍が何か言っていたが何も耳に入らなかった。



子龍の傷は幸い其処まで深くなく、2週間ほどで再び槍を握れるそうだ。
俺たちが守るはずだった拠点は勿論敵に陥落させられてしまった。

「……お願いします諸葛亮殿っ。…今はそっとして置いてください」
「そういうわけにもいかないと貴方ならお分かりでしょう?」
廊下からそんな声が聞こえたかと思えば俺の部屋の扉が開いた。

「話があります。いいですか」
拒否権が無いのはわかっていた。
それはそうだ。今回のことは一族が皆処刑されても仕方ないことだ。
ましてや俺は休と一緒に蜀に降った身。
処罰は避けられない。

「馬休が曹操のところに降ったのはいつかわかりますか?」
「……………」
いつからなのだろうか?

休が曹操と繋がっていたのは。
蜀に降った後?前?

いつも一緒に居たはずなのにわからない。
でも蜀にきてから…と言うのは考えづらい。
だからと言ってそれ以前となると離れていた時間すらなかった。

となるとやはり後なのだろうか?

「…………」
「わからないようですね。それなら結構です。」
「あの…俺は……」
この後の処遇について馬鉄は既に覚悟を決めていた。
「馬鉄と馬超殿には処罰は無しです。……貴方たち二人が曹操と繋がっている可能性は0だと判断しましたので。ですがしばらくの間、形のみですが謹慎はしていただきます。」
予想外の回答に正直心が痛んだ。

本当はそれでも処罰の対象なのだが蜀にとって馬超という大きな人材を喪うのはとても痛手である。
だがそれで納得しないのは本人たちだろう。

「……馬超殿には戻り次第伝えます。」
「聞くことなどない。全てきいた」
「馬超!!?」
鎧を着た馬超が扉を開き部屋へと入ってきた。
その表情はショックを受けている馬鉄とはまるで正反対である。
とても怒りに満ち溢れていた。
「丞相殿、俺を極刑にしろ…と言いたいがまだ曹操を討っていない。…だから曹操を討ったら俺と鉄を裁け」
「……馬超…」
「趙雲。すまない…貴公にまで迷惑をかけてしまった。」
「いいえ…私の傷は本当に大したことありませんので」
趙雲はそう言ったが、馬超は突然地に膝と手をつけ、更に頭を床に押し付けた。

「馬休の首は曹操共々俺がとり必ずこの国に持ってくるっ…だから……」
「馬超殿止めてください!!」
彼の行動に思わずさけんでしまった趙雲。
土下座をされても困る。それに…

馬休の首を取るなどと叔戒の前で言うなんて
そんなこと

「……いいんだ子龍。兄貴は…当たり前のことを言っているんだ」
「叔戒……」


暫く頭を下げた馬超は諸葛亮に“頭を上げなさい”と言われ立ち上がった。


諸葛亮が部屋から出て行くと「失礼する」と言って馬超も部屋から出て行った。


「子龍…俺の心配はいいから兄貴のところに行けって」
皆居なくなると馬鉄は趙雲に言う。しかし趙雲は首を横に振りそれを拒否する。
「行けって!!………頼むから一人にしてくれよ」
「そんな状態の貴方を一人にさせるわけにはいかないです」
やっぱり回りくどいことをするのは苦手だと馬鉄は舌打ちをした。
未だに状況が理解出来ないのは事実だ。
信じられるわけもなく夢なのかもしれないと思っている部分もある。
本当は一人になるのは怖かった。


しかし趙雲に行けと言ったのは

「今子龍を必要としているのは俺じゃなくて兄貴なんだ。」

過去のことに関しては実際その場には居なかったからわからない。
あの時どれだけ兄貴が苦悩したか……
仲間に裏切られ
最愛の人に裏切られ


そして今…家族にまで裏切られた。


趙雲は馬鉄に背を押され部屋から出される。
こうされてしまってはどうしようもなく、趙雲は馬鉄に言われたとおりに馬超の許へと向かった。

一人になった馬鉄は寝台に身を投げ目を閉じる。



「頑張って。……敵には十分気をつけてね」

あの時敵と言ったのは魏ではなく、休自身の事だったのだ。


…ねぇ曹操様、僕も褒賞10倍なんですか?


「っ………何でだよ休……」
馬鉄は布団に顔を押し付け、声を殺しながら泣き続けた。



・・・・・・・・



「……一人にしてくれ。」
馬超を探すと案外あっさりと見つかった。
しかし彼は馬鉄と同じことを趙雲にいったのである。

「そういうわけにもいかないのですよ。叔戒に傍にいてやれ…と言われましたから。」
「…………」
馬超はそれ以上何も言わなかった。廊下の壁に寄り掛り座りただ空を見ている。
隣に座った趙雲は馬超の視線の先をみつめた。

だが見えるのは空だけである。
しかし彼の瞳にはきっと何か別のものが映っているのであろう。











「……………馬超?」
「…………」
馬超が肩に寄り掛ってきた事に驚き思わず彼を見る趙雲。
頭を預けた錦はもう空を見てはいなかった。

瞳を閉じて軽く下唇を噛んでいた彼の姿をみても、趙雲は何も言わなかった。


彼にだってプライドがある。
それを崩してはいけないのだ。

叔戒に言われなくてここに私が来なければ彼はどうしていたのだろうか。

ただ一人虚空の中彷徨い続けたのではないだろうか?



「…………たい…は」



「…?」
「岱が……何処にいるか……わかるか?」
細々とした声で男は趙雲に問う。

「いいえ……」
そう言えば戦前馬岱の姿が見えないと言っていた。
あれだけいつも一緒に居た者の姿が見えないと確かに心配にはなるだろう。










…違う。



今の言葉はそういう意味ではない。

「馬超っ!!」
趙雲は声をあげ彼の肩を掴んだ。
このままでは彼は言ってはいけないことを口にする。

「それは絶対にありません。だからそんなこと考えないでくださいっ!!」
もしそれを口にしたら
きっと彼は後に罪悪感という荊に縛られてしまうだろう。

「……趙……雲」

馬岱が馬超を裏切るはずがない。
そう言うことが出来るのなら楽だった。

しかし、あの馬休が叔戒を裏切った直後だから今その言葉を言うことは出来ない。

馬超も叔戒もこんなに傷ついているというのに
何も出来ない自分が情けなかった。




気が付けば朝になっていた。
あの後から互いに何も言葉を口にしなかった。

叔戒は…一日中泣いていたのだろうか。


本当は見に行ってやるべきだったが、今馬超からはなれることも出来なかった。

絡まる指。
ずっと重なっていた掌。

離れないでほしい…という彼の精一杯の意思表示である。





「馬超殿!!何処におられますか!!!?」
聞こえた誰かの叫び声。
この声は……

「姜維…か。こんな朝早くにどうしたのでしょうか」
「今は…まだ誰とも会いたくない」
「……ではわたしが話をきいてきましょうか?」

「……………」

馬超の指に少し力が入った。
趙雲はその意味をすぐに理解し馬超に向けて優しく笑む。

しかし、ただ事ではなさそうだ。
どうすればいいか趙雲は悩んだが、次に別の叫び声が聞こえた瞬間彼は突然立ち上がった。


『姜維!!あの脳筋男まだ見つからないのか!!?馬岱が危ない状態だっていうのにどこに行ったんだ!!』


(馬岱が…危険な状態??)


趙雲は立ち上がったまま呆然と立ち尽くす馬超の手を強く引き、姜維たちの許へ走る。
先ほど馬超を脳筋と言ったのはどうやら馬謖のようだ。

「姜維!馬岱は何処にいたんだ!!?」
「っ!武器庫にいたのを兵の方が見つけて……。呼吸はしているのですが、いくらこちらが呼びかけても目を覚まさないのです」
姜維の言葉を聞くと馬超は趙雲の手を振り切って武器庫へと走った。
趙雲や姜維もその後ろに続いた。










「岱っ!!」
武器庫に行くと倒れている馬岱の周りを諸葛亮たちが囲っていた。
馬鉄も来ていたようで、馬岱の名を何度も叫びながら彼の服の襟を掴み揺さぶっている。

「……今医師にみてもらったのですが、どうやら睡眠薬を飲まされたようなんです。だから命に別状はありませんよ」
入ってきた馬超たちに諸葛亮は説明した。

「……………」
恐らく拘束されていたのだろう。
馬岱の腕は痛々しい色になっていた。


誰がそれをしたのか考えたら思いつく人物は一人しかいない。


「鉄…ちょっといいか」
馬超は昏睡状態の馬岱の傍に座り静かに名を呼びながら肩を揺さぶる。
何度も何度も呼ぶが馬岱は一向に起きる気配はない。


とあることを思いついた馬超は指を口元に当て息を吹き込み指笛を鳴らす。
出来る者は多いが誰も馬超ほど力強く澄んだ音を出すことは出来ない。


「……!」
趙雲は見逃さなかった。
馬超の指笛に反応して馬岱の瞼が僅かだが動いたことを。
無論それを見逃さなかったのは馬超も馬鉄も同じである。

「「岱っ!!」」
今度は声が届くと思い馬超と馬鉄は同時に彼の名を呼ぶ。
するとさっきより強く瞼が動いた。





「……あ…に……うえ?」
その瞳に馬超の姿を捉え、馬岱は呟く。どうやら目を覚ましたようだ。
眠っていただけということもあって目が覚めればもうなにも問題ない。



「しっかりしろ!!何があったんだ!!?」
「――――!!」
馬超に問われ馬岱は突然起き上がった。

「っ休!!従兄上っ休は今どこにいる!?早く休を止めないと」

その叫びに周りは静まり返る。
それがどういう意味か気付いた馬岱は「そんな…」と呟き愕然とした。


「………岱も……気付いたのか?休が……内通者だって……」
馬鉄は馬岱に問う。その問いに周りは強く反応した。
今の馬鉄の言葉は、彼もそれに気付いてたという意味だ。

「鉄、お前………」


「…あの時……処刑された奴と休に接点があったこと誰かに相談してたら……」



何かが変わっていただろうか?




休は魏に行くことなんてなかっただろうか。




でも…誰に責められようが




「俺には出来なかったっ……休を疑うなんて………っ」
「鉄っ!!」
馬岱は馬鉄を強く抱きしめる。
この時馬超はふと夜のことを思い出していた。一時でも馬岱を疑ってしまったことを。
それに気付いた趙雲は震えている馬超の手を誰にも見られぬよう軽く握った。







「今でも鉄は休のことが好きか?」
「っ………」
馬岱の突然の問いに馬鉄は息をつまらせた。
今の状況でどうやって答えを出せばいい?
頭の中に色んなことが浮かんで気持ち悪い。
今までの記憶が一気に脳内を駆け巡る。




「好きだから答えられない…そうだね」
「―――――!!」
そうだ…。嫌いならハッキリと嫌いだと言えるはずだ。
中々口が動かないのは…




「っ岱。何で休は……魏なんかに」





「それは……」
馬鉄に問われ馬岱は少し困った顔をした。
すると諸葛亮は馬岱が何か知っていると察知し“隠さずに言ってください”と言う。

「じつ「丞相っ!!」
馬岱が話そうとすると突然兵が駆け込んできた。
「なんですか…まだ取り込み中ですので出来れば後ほど…」
「あっ…あの……城の前に不審な箱が。如何なさいましょうか………」

その兵の言葉をきいて馬岱は一筋の雫を流す。



「丞相…私の口から説明する必要はないようです。」
「…………どういうことです」
諸葛亮の問いに馬岱は答えなかった。
とりあえず行けばわかるのだろうと思い箱が在る場所へと向かう。



「従兄上も行ってください。」
中身を一番見なくてはいけないのは従兄上だと馬岱は言う。
その意味はわからなかったが、馬岱が行けというのだから馬超はそれに素直に従った。


「趙雲殿は暫しここに残って欲しいのですが」
「…………」
馬超に付いていこうとした趙雲は馬岱の言葉で足を止める。





「鉄は知らないほうが幸せかもしれない。…でも真実が知りたいなら行くといいよ。」


「箱と休が魏に行ったこと…が関係あるのか?」
「あぁ。」




「………なら行く。」
どうして休が魏なんかに行ったのか…それを知らないで明日を迎えるなんて勘弁して欲しい。
馬鉄は迷い無く武器庫から出て行った。



「どうしてわたしだけ残されたのです?」


「……休から預かった物。あれ、もう必要ないので俺に渡してもらえませんか?」
「!」
あまりにも馬超や馬鉄が心配で趙雲の頭から手紙の存在がすっかり抜けてしまっていた。
馬休との約束の日は今日だった。

懐から渡された手紙を出す趙雲。

「箱の中身を知っているようですが……一体何が入っているのですか?」
「推測だけど中身は……」








休の…首ですよ











「…………鉄っみるな!!」
遅れて入り口へときた馬鉄を馬超が止める。
箱の中身をみた者達は皆顔を顰めるか背けていた。

色素の薄かった髪の色は真紅と化していたため開けた瞬間は誰かわからなかった。
しかし、幼い頃から彼を見ていた馬超がわからないはずがない。

「何でだよっ…それを見れば休がなんで魏に行ったのかわかるんだろ!!?」
馬超が止めるにも関わらず、それを押しのけて箱へと近づいた馬鉄。
そして箱の中身と視線があった瞬間目の前が真っ白になった。



「………」



自分と同じ蒼い目。
しかしもうその瞳に光は宿っていない。



「……嘘……だろ……」




馬鉄は箱の中から首を取り出し間近で彼を見た。
別の誰かであることを願うが、見れば見るほどその願いは打ち砕かれていく。






「……丞相。魏に総攻撃を仕掛けるなら今かと」
「何故そう思うのですか?」

後ろから現れた馬岱に諸葛亮は問う。


「今魏は、我が従兄弟馬休が曹操を亡き者にした故に動揺しております」
「…………それは…本当ですか馬岱?」
「彼の首が…ここに届いたのがその証拠です。」



諸葛亮は確認するように…と早急に使者を出した。




「……岱……どういうことだ?」
「従兄上。休は……自らを犠牲にし曹操を討ち取ろうと目論んでいたようです。」


「それならば一人でやるなどと無茶をしなくても……」
一人でやる必要などなかった。

それも武器を持つことを望まなかった馬休が…




なのに、彼がそうしたのは









「それは…護りたい人がいたから。」
「……」
チラッと馬鉄の顔を見た馬岱。


「鉄…君はずっと休に護られていたんだ」
「………ず…っと?」
「そう。ずっと…。皆が虐殺されたあの日から」
ずっと…と言われてもいつも俺が休を護っていたハズだ。
獣に遭遇した時も賊に襲われた時も

なのにどうして休が俺を護っていたというのか。
「…………」
「不思議に思わなかったか?どうやってあの死地を脱出したかのかって。」

馬岱ははじめに二人を見たときに頭に引っかかることがあった。
それは、二人に殆ど傷が無かったことだ。
すぐに脱出した自分でさえ体中に傷を負った。一生消えることがない数多の傷を。


「それは君が気絶している間、休が曹操と取引をしていたんだ」
「取引?」
「あぁ。……詳しいことは教えてもらえなかったけどとりあえず蜀の情報を流せとは言われていたんだろうね」

仇に使われるのは馬休にとってかなりの苦痛だと言っていた。
だがそれは全て

「鉄を死なせたくなかったからだったんだ。」
「………………だけどっ…その話だと…この状況は説明できないだろっ」
何故一人で曹操を倒すなんて無茶をしたのか。
ここにいれば余程のことじゃない限り曹魏の刃は届かない。


「趙雲殿が従兄上に渡すように頼まれていたようだけど…俺は君が読んだ方がいいと思う。」
そう言って馬岱が渡したのは一通の手紙だった。
馬鉄はそれを急いで開く。


「…………」


手紙の内容は馬鉄にとってとても辛く哀しいものだった。
確かにこの手紙は自分の問いの答えそのものである。

どうして休があんな行動をとったのか…
それは自分の言葉・行動が彼に一つの決断をさせたからだ。

俺は休を護ろうとした。
休は俺に無意味な戦いを止めて欲しいと願った。


休にとって自分の思いをかなえるためには消さなくてはいけない人物が二人いる。
一族の仇である曹操
そして



自分自身




「意味わかんねぇ……。死んだら……なんの意味も無いじゃないか」
「意識がなくなる前に…休が言ってた。これ以上鉄の手が血塗れていくのはいやだ…って」


馬鉄の持っている手紙の文字が滲んでいく。

馬休が手紙を残したのは兄に馬鉄を戦場に立たせないで欲しいと頼む為であった。

もう仇はいない。
護ろうとした馬休もいない。
彼の願いどおり馬鉄が戦う理由はなくなったのだ。

ただ馬休の誤算は魏に行く当日不覚にも馬岱に怪しまれてしまったことだ。
馬鉄と違い、馬岱に感づかれてしまっては誤魔化すことは出来ないと判断し全てを彼に話した。
無論馬岱は反対をした。


…が、既に覚悟は決めていた馬休を止めることは出来なかった。



「…………」
馬鉄は馬休の首が入った箱に歩み寄る。
そして再びその箱に手を入れいつも彼の髪を結わいでいた紐を解き手に取った。
瞳と同じ色をした紐は血に染まり元の色を喪っていた。



「ごめん………俺が弱かったせいで……。」





馬鉄はそう言って開いたままだった馬休の瞼をとじ胸に手を当て最愛の兄に静かに別れを告げた。

















あれから3日が経った。

情報によると馬岱の言う通り曹操は既に亡くなっていた。

表向きは病死とされているが、城の者達は知っている。



それは一人の男が己の望みのために単身乗り込んで葬ったのだと。



今城内は総攻撃を仕掛ける手筈を整えるために目まぐるしく準備をしている。
走り回る人々の中馬鉄はゆっくりと歩き、城の出入り口へと向かった。

「…鉄!!」



「あぁ岱か。どうした?」
どうした?じゃないよ!…と、馬岱は叫び馬鉄の肩を掴む。

「戦に出なくても、ここに居ていいって丞相が言ったじゃないか」
「何かそれだと気まずいだろ?………それに」
今まで槍を振るばかりだった。だからそれが無くなると他にすることがない。
正直かなり暇だし、鍛錬をしている奴らを見ているとストレスがたまって仕方なかった。
たった3日でこれである。

そう考えたらこの場所から出るのが一番だった。

「民を甚振っている山賊とかを成敗するくらいなら休も文句は言わないだろ?」
「…ま…まぁそれはそうだけど」
休が望んだのは“無意味な”戦いである。

「本当に一人で大丈夫?」
「………休だって…一人でずっと戦ってきたんだ。俺だってできるさ」
それでも心配そうに顔を歪ませる馬岱。

本当は誰にも会わないで出て行くつもりだったというのに、ここで馬岱に足止めされたことにより更に人が来てしまった。

「行くのか。…止めはしないぞ。」
「叔戒……手合わせしたければいつでも来てくださいね」


「ん…?子龍……もしかして兄貴より俺の方がよかったのか?」



「そういう意味じゃないです。というかまだ馬超とはしてませんから」
馬鉄と趙雲の会話に冷たい視線を浴びせる馬超と馬岱。



「……馬岱。準備が忙しいから行くぞ」
「……はい。従兄上」
二人は溜め息をついてさっさと居なくなってしまった。




「あっ……ちょっと待ってください馬超っ…」
趙雲は慌てながら2人を追う。


予想通りの展開に馬鉄は腹を抱えて笑った。








―――さぁ、休…行こうか………




これから先は自分自身との戦いである。

大切な人によって紡がれたこの命
愛すべき人が遺した思いを無駄にしないよう生きていく。




それが馬鹿だった俺がしなくてはいけない
休への償い。




手首につけている赤い紐を空に翳し馬鉄は城を後にした。





END

――――――――――

うわぁぁあ…
なんか色々スカスカですみません。
この話、後に馬休サイドを書く予定であります。(じゃないと不明な部分が多すぎますので)
それで無事に完結…になればいいの…かな?と
馬鉄視点としては完結です。

えっと……前々から仕掛けがあると書いていたのですが
護りたい人の最初のページに馬休の隠し台詞があります。

PCの人の場合選択すると出てくるのですが、携帯の人はテキストをコピー…等でみられると思います。
因みに陽樹はファイ●シークで観覧してみましたがキチンとみれました(でも色が黒一色なので見づらいです)。
…面倒ですねすみません。
他にもどこかにあったような気がしますが…忘れてしまいました←

あっさり馬岱や馬鉄が馬休の死を受け入れてしまったあたりは反省しなきゃいけませんね。
でもそれは馬休の性格を熟知している…という設定だったり。言ったことを絶対捻じ曲げないのは馬休が一番という。
とりあえず馬休編も頑張って書いて近々UPしたいと思います。
馬休が本当に魏に下る話も考えているのでそれも年内中(おぃ)にUPできればいいなぁ…と。


流石に展開がトントン拍子過ぎますので、後に加筆するかもしれません。
きっとタイトルにSPがつくのですよ(笑)


ここまで読んでいただき有難うございましたー


2009/06/16