「趙雲っ、今日も街へついてきてくれぬのか?」
槍を握り鍛練場へ向かう趙雲の腕をつかみ引き止めるこの国の主の息子・劉禅。戦場に立つことを知らないその男の腕はとても細く、例え強く引いたとしても足を止めさせることすら出来なかった。

「っ、阿…劉禅様。…すみません今日は鍛練があるので」
「昨日もそういったではないか…………。趙雲は禅が嫌いになったか?」
20センチも身長が大きい趙雲を見上げながら劉禅は呟いた。
その目からは今にも涙がこぼれそうである。そんな彼を見て趙雲は困った顔をした。


「劉禅様を嫌いになる筈はありません。国の為、力をつけなければならないのです。五虎将軍の名に恥じぬよう…」
「趙雲は充分強いではないか。……鍛練など今日1日くらい……」
劉禅はそういうが、趙雲は自覚していた。五将の中で自分が一番実力が下だと。


「……最近御主は馬超とばかり居るではないか。っ…あいつはダメだ。何故父はあんな男をこの国に招いたのだ……。居場所を無くしたキョウ族の男だぞ……いつ裏切り、この蜀を我が物としようとするかわからぬ…」

趙雲の腰を強く掴み劉禅は言った。その言葉を聞き趙雲は悲しくなった。

「劉禅様、彼はその様な御仁ではございませぬ。」
「趙雲は騙されているのだっ」

どうして劉禅が馬超を悪く言うのか趙雲はわかっていた。
これは彼の本心ではない。
これがまだ阿斗と呼べる幼い頃なら許されるだろう。しかし、今は違う。


「私情で、家臣を悪くいうのはいけません。」
「…私情ではないっ。禅は……禅は…」
劉禅がこうなってしまったのは、自分にも責任がある。何でも彼を最優先した。それが今になって裏目に出てしまったのだ。
だから今、厳しくしなければならない。

趙雲は一回目を閉じ、息をのんだ。



「劉禅さ「子龍、馬超さん待ってたよ。」
目の前に現れたのは、額に汗を滲ませて剣を握っている劉封と関平。恐らく二人で鍛練をしていたのだろう。


「禅、趙雲だって忙しいんだ。何時だってお前のお守りをしてるわけにはいかないのは解ってるだろ。」
「…………」
劉封は劉禅を宥めるように、趙雲が言いたかった事をサラッと言った。
その言葉で劉禅は趙雲の腰から手を放す。

「じゃ、某たちはこれから昼食に行くんで。禅も一緒に食べるか?」
「いい…。」
「そっか。」

劉封は“じゃあ”と言って、関平と共にその場を後にした。








「…劉封……。劉禅殿はもしかして……」
「ハハっ。何でも欲しい物が手に入ると思うなって感じだよな。……まぁ、どうせ子龍はアイツの物になることはないさ……」
「……………」
関平は笑う劉封を見てため息をついた。表面では“良き兄”だが、決して彼の事は好きではない。


そして…


(………養子の癖に…禅に…指図したな…)


劉禅もまた劉封のことは好きではなかった。



「……趙雲、もしよければ鍛練をみてもよいか?」
「…………よいですよ。しかし珍しいですね」
答えるまでの間が気になった劉禅は趙雲の腕をしっかりと掴んだ。
彼が自分から離れないように。
そして二人で鍛練場へと向かった。






錦になど…禅の龍を渡しなどはせぬ……









なんの昼ドラですか?
うちのサイト趙雲総攻めでいいんじゃないですか?マジで

今回のこの話は一応劉禅のキャラ紹介と言うことで。
腹黒(?)Lv86くらいですかね?というか我が儘なだけか。

劉禅→趙雲→馬超

まぁこんな感じで。
あ、今日でサイト開始3ヶ月ですね。早いもんだ

2009/03/24