「っ……拙者が…未熟だったから…」
「泣くな平…。あれは仕方なかったんだ。お前のせいじゃない」


荊州の戦いの幕が閉じた。
この国の最大の犠牲は軍神の死去。
ずっと共にしていた軍神の息子は帰ってくるなり、ずっと涙を流し続けていた。





あれは…
過去の俺だ………




「岱…。どうした?そんなところに突っ立って」
「――――っ」
己の名を呼ぶ声が聞こえ広間の隅にいた俺は振り返った。
同じ碧い瞳が自分をみている。

「なんでもないですよ従兄上」
と笑顔を一瞬で作り答えた。と、いうのは従兄上が俺の表情にあまりにも敏感なせいである。心配性は度が過ぎるとかなり厄介なものだ。




「何をバカなことを言ってる!!」
「「!??」」
突然の罵声に馬岱と馬超の二人は、叫んだ劉封の方に思わず視線を向ける。

「……自分が死ねば良かったなんて。そんなこと…二度と口にするなっ!!」
劉封は関平の胸ぐらを掴み彼に向かって叫んでいた。





ドウシテ


オレナンカガ イキノコッテ
シマッタンダ…


オレガ…


シネバ
ヨカッタンダ







消えることのない苦しみ。
逃れられない過去の記憶。

父も母も…鉄も休も叔父さんも、みんな殺されたのに俺だけ今ここに生きて地を踏んでいる。


「岱……行くぞ。」
自分が今関平と己を重ねている事に気づき、急いでその場を立ち去ろうと従兄上は思ったのだろう。
「…はい。従兄上」


関平の気持ちは痛いほどわかる。自分なんかが生き残ってしまった事は死よりも重いと感じた。

いずれそれは精神を蝕んでしまうことを俺は誰よりも知っている。





でも…




「某は…平が生きてくれてよかったと…本気で思ってるんだ……。だから…そんなこと言わないでくれ…っ」


彼は大丈夫だ。




岱……お前だけでも無事でよかった……。




その言葉で心が救われることも、俺は誰より知っている。



「従兄上、岱は今この世界に居ることを神に感謝しています。」
「そうか。」
ふっ…と馬超は笑う。

「死にたい…なんてもう絶対いいませんから。」
「当たり前だ。」






周囲に責められ追い詰められた時、一度だけ己の光を自ら消そうとした。

しかし…



俺を…一人にするな……



朦朧とした意識の中きいた、従兄上の弱々しい嘆きに心を奪われてしまった。

自分が生きたことには何か意味がある。
もしそれが従兄上の支えになるために生かされたのだとしたら…


俺だけが生きていることを誰が責めようと、もう死を望まない。


そう思えるようになった。



END




元ネタは桃樺の絵です。
といいたいところなんですけど、陽樹の本サイトのアナザーver.とでも言っておきましょうか( ´∀`)
本サイトの方だと劉封ではなく星彩がただ黙って泣いてる関平の隣にいます。


馬岱が過去を思い出して狂うのも良かったのですが、

うん。ちょっと※がつきそうだったので止めました。

久しぶりにお手頃サイズのポエムがかけた!
本日は再びカラオケです
田舎って、カラオケしか行くとこないから(笑)


2009/03/19