優しく食んだ皮膚からは微かな汗の臭いといつも通りのシャンプーのかおりがした。すんすんと鼻を鳴らし口に含んだ風介の一部を遊ぶように往復する。服のなかを蠢く存在は、くすぐったいのか時折咎めるように身体を摘まむ。それに応えるようにゆっくりと指を這わせれば、肩を掴まれて引き離された。性急なその行為は強かに欲を放つ。抑えきれない衝動に風介の指先が肩に食い込んだ。 「指、痛い」 ねっとりと絡み付くような手つきで肩にたてられる指を外せば、ぎらぎらと獰猛な光を宿す瞳に射抜かれる。あわさる二対の光源は互いに引くことを知らず、しかし向けられる出所はこの平行線から交わる術も知らない。中途半端に臆病なこいつは無意識下で無理に踏み込むという選択肢を排除していた。ああ、愉快! 「ふふ、やぁだ」 「っ君って奴は‥」 生殺しっていう言葉を知っているかいって?そりゃもちろん!手綱を掌でもてあそぶ快感に酔いしれながら、健気に解放の時を待つ野獣の鼻先にちゅうと、キスをした。 -- 余裕のある南雲晴矢(14) 属性:誘い受 |