→基山と南雲

「俺だってね、嘘をつこうと思えばつけるんだよ」

「何いってんだよ、お前なんていつもうそついてるようなもんじゃないか」

「あ、ひどおい。俺は本当のことしかいわないよ」

「よくいうよ、それすら嘘のくせに」

「晴矢は俺のこと信用してくれないんだね、悲しいなあ」

「きっしょ、泣きまねすんなよ。俺はお前の泣きまねがこの世で一番嫌いだ」

「え、一番なの?光栄だな」

「そのおめでたい頭を一度開いて中を見てみたい」

「でも俺は、晴矢のこと好きだよ?」

「うっせえ黙れ俺は嫌いだ」


(嘘つき一人、さあだあれ)





















→涼野と南雲

「今日何の日」

「エイプリルフール」

「四月馬鹿」

「うん」

「嫌い」

「誰が」

「お前が」

「私は嘘でも君に嫌いなんていえないよ」

「ばっ、」

「なんてね、嘘」

「死ね」


(でもいってないでしょ?)























→??と瞳子

「今日は嫌いな人に好きだよって言う日だよ」

「そうなの?じゃあ、すきな人にはきらいってゆうの?」

「端的に言うとそうかな、でもね、嫌いっていう言葉よりも、好きって言葉のほうが嬉しいよね?」

「うん、」

「だからね、」










懐かしい夢を見た。暖かく陽だまりのにおいがするその記憶は長い間心の湿ったところに閉じ込めていたものだった。気だるさに包まれた身体はさっきまでの輝かしい色を鮮明に覚えていて、薄暗く光の落ちない掌を広げたまま動くことができなかった。


「きらい、だいっきらい、‥兄さん」


(「嫌いな人に好きっていって好きになろう?」)







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嘘つきたち

110401
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