濡れた唇に指を這わす瞬間がたまらなく好きだった。濡らすのが己であれば尚更だ。元来の柔らかさに加えて薄く色づくそれがしとりと指先に吸い付き惑わすように震える。



「ん、やだ」



ふるりと首を振り逃れようとする唇を追い掛けてまた口付ける。微かな抵抗など所詮飾りだ。なんだかんだで彼もこの状況を楽しんでいる。それを知っているからこそ、おれも楽しめるのだけれど。



「なぁ、キスだけ?」
「お望みのままに」



膨れる頬に触れるだけの口付けを落として、なめずりをする舌ごと食らいついた。





(主菜にはまだ早い)





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テーマ「人外ファンタジー」
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