「さすがに疲れたな…」
「お疲れ様ディミトリ、いやぁすごい人気者だったな」

 戦争が終わり二年、まだ各地に戦の爪痕は残っているが、我らが国王陛下の誕生日を国を挙げて祝うことができるくらいには余裕ができていた。城下では出店などが出ていたりしてちょっとした祭り状態だった。
 先ほどまでディミトリが出ていた祝宴には各地の領主や要人たちが祝いに来ていて、警備兵の配置をギルベルト殿と数週間前から考えていたのは記憶に新しい。色々準備であちこち駆け回りはしたものの、ディミトリのためなら苦ではなかったし、何より彼の笑顔を見れたので大満足だ。惜しむべきは、主役本人が挨拶やらであまり休ませることができなかったことだろうか。

「今日はこれで終わりか?」
「うん、祝宴はもう数十分で終わる予定だし、客人たちのお帰りは担当たちに任せているから大丈夫」
「そうか、なら安心した。…俺はしばらく応接間で休ませてもらうかな」

 みんなの前ではあまり表情に出さないが、疲れた顔をしている。普段の公務とは違い、祝宴の対応となるとまた別ものだ。後でドゥドゥーにお茶を持っていってもらおう。

「そうだ、シルヴァンとフェリクスは泊まっていくそうだから後で応接間に通そうか?イングリットも誘って、たまにはゆっくり話したいだろう」
「本当か!?二人とも泊まるのは久しぶりだな…」

 三人の名前を出すと明るくなる表情に思わず顔が緩む。私が言わずとも日程の調整はしていただろうが、話をつけておいてよかった。

「ルミナも一緒にどうだろう、忙しいか?」
「私も?…一度ギルベルト殿と会場の方を見なければいけないけど、その後なら大丈夫だな。遅れてもいいなら顔を出すよ」
「ああ、待っている」

 それでは、とやってきたドゥドゥーと交代して仕事に戻る。思いがけぬ約束事が増え、自然と元気がみなぎってきた。よし、頑張ろう。
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