緑間真太郎と幼馴染


 綺麗な弧を描き、ボールがゴールに吸い込まれた。続けて二つ、三つと次々に入っていく。人々は彼が外す場面を滅多に見たことがない、と言うが私にとってはそうでもなかった。幼い頃から一緒にいれば、まだ下手くそだった頃だって知っている。
 先輩たちも高尾くんもいない、彼だけが残って練習をしている少しの時間を、私も残って見ることがある。昔からのことだった。高校生になって私も友達付き合いがあるし、時間も遅いから回数は減ったけど。

「名前」
「ん?」

 弧を描いたボールが入る。名前を呼ばれて彼の顔を見るが横顔しか見えない。彼は一度もゴールから視線を外さない。

「お前はずっと見ていろ」
「うん」

 弧を描く。私が見ている。

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