「・・・泣くなよ、うん」
声がする方を見上げてみたら真っ暗な空のせいで何も見えなかった。でもきっと声の主はデイダラ。
「・・・泣いてねぇーよ。」
「ならいいんだけどよ・・・」
私は小高い丘の上に体育座りをして真っ暗な景色をもう何時間と見つめている。
「・・・中入らないのか?」
「もう少し、ここに居てぇんだ。」
デイダラは心配そうに尋ねてくるが、私にはそんなデイダラを気遣ってあげられる程、今は気持ちに余裕がない。
「・・・腹、減らないか?」
「いい。平気。」
ただ一人になりたくて、みんなから逃げたくて。
「ん。」
デイダラは私の前におにぎりを2個出した。
驚いてデイダラを見れば「鬼鮫が何か食わねぇとダメだってよ」と言った。
私は暫くおにぎりを見つめていた。
腹が減ってないわけじゃない。だって今日は何も食べていないから。
でも、とても喉に食を通す気分にはなれなかった。
「我慢すんな、うん」
デイダラがそう言って私の頭に手を乗せた。
その瞬間に気が緩んでしまったのか、目頭が熱くなって、目の前が霞んだ。私はそれを振り払うように、ぼやける視界でおにぎりを捕らえ、両手を使って2個いっぺんにおにぎりを掴んでバクバクと口に運んだ。
その間に流れる涙が、止まらない。
勢いよくおにぎりを詰め込むから、途中何度かむせた。
でも私は気にせずに、またおにぎりを口に突っ込む。
「っ‐―‐―」
涙が流れ始めて止まることを知らないソレは時間が増すごとに苦しくなって時折声が漏れた。
デイダラはそんな私の背中を擦ってくれていた。
こういう時の人の優しさは、余計に涙腺を刺激するものだ。
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