『ゲハハハ!!俺って天才じゃねぇ!?』

馬鹿なこと言って笑ってる飛段も。


『アァ?!ジャシン様をナメんじゃねぇーよ!!』

ジャシン様を侮辱されて怒ってる飛段も。


『死ねないってよォ、良いことだけって訳でもねぇんだぜェ?』

時々見せる、悲しみを帯びた飛段も。


全部、全部、全部
好きなのに


それすら伝えられずに、私は何をやっていたんだろうか。


何で、どうして、こんなにも早く飛段は居なくなっちゃったの。

私には飛段の死を受けとめられるだけの器はない。





「もし、あの時飛段が言い掛けたことが、私と同じ気持ちならいいのに‐―」



頭の中で飛段の声をリピートして、焼き付ける。
飛段の笑った顔をリピートして、焼き付ける。


もし、そうなら、飛段は顔を真っ赤に染めて、間抜けな表情で、こう言うの。

 
 
『月魅、好きだぜェ』



それで、何も言えずに顔を赤く染めて俯く私に飛段は


『返事はァ?』


なんて、デリカシーのない言葉をかけるの。



そんな飛段が、愛しい。



 
 
「飛段は、月魅のこと―‐」


そう言い掛けたデイダラの頬を私は思い切りつねった。



「痛てぇな!!うん!!」


デイダラは赤くなった頬を涙目で押さえてた。
 
 
 
「デイダラ。‐―だって、私、もう飛段を鮮明に思い出せないんだ‐‐」



そう、さっき思い出した時に気付いてしまった。

どんなに大切な人でも、思い出す時は、皆平等で

どんなに鮮明に思い出したくても、思い出す時は、まるで夢の中の人のようにボヤボヤとしていて

この世界に居た時のように鮮明には、蘇らない。



「‐―ごめん」


デイダラは、申し訳なさそうに俯いた。





ねぇ、飛段。

さっきデイダラが言い掛けたことは、私に都合がいいように解釈してもいい?

私は、飛段が好き。
伝えることなんてできなかったけど。

もし今、飛段も同じことを思ってたら、笑えるな。



でも、ごめんね。
私はジャシン様を崇拝するなんて出来ない。



だって私は



ジャシン様なんて、大嫌いだから。



神への冒涜
信者を救えない神なんて私は信じない
 
 
 

4/4


[戻る]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -